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プロジェクト研究: 平成28年度採択課題一覧

 

研究課題 欧州政治経済危機の移行諸国への経済的インパクトに関するパネルデータ分析
研究代表者 鈴木拓(帝京大学)
研究分担者
菅沼桂子(日本大学)、岩﨑一郎(一橋大学経済研究所)、雲和広(一橋大学経済研究所)
本研究プロジェクトは,2008年の世界金融危機,2009年の欧州国家信用(ソブリン)不安,並びに2014年春に惹起し,いまなお進行中であるウクライナ内戦とこれを引き金に発動された対ロシア経済制裁から成る欧州での一連の政治・経済危機が,中東欧・旧ソ連諸国に及ぼした経済的影響を,国家レベルと地域経済の両面から,実証的に分析することを目的とする。具体的には,中東欧・旧ソ連諸国を網羅する国家・企業レベルデータ及びロ シア連邦構成主体のパネルデータを用いて,経済成長,外国直接投資,企業の新規参入・ 市場退出確率,並びに貧困率との相関関係という視点から,上述の欧州危機が,これら旧社会主義移行経済にもたらした外生的インパクトを,統計的・計量経済学的に解析することを主眼とする。

 

研究課題 Impact of International Economic Factors on the Russian Economy in the 2000s.
研究代表者 Shadrina Elena(明治大学)
研究分担者 雲和広(一橋大学経済研究所)
The project aims at examining the contribution of external factors on Russia’s economic growth. The aim of this study is to investigate the effects of Russia’s institutions (dominance of state-owned companies, restrictive regulatory environment for international oil companies and so on) on uncertainty of Russia’s economic growth (measured through fluctuations in growth rates) in the 2000s.
The assumption is that having pursued resource nationalism/ state capitalism and ignoring the importance of institutional cohesiveness with its major economic partners, Russia has exposed itself to greater economic uncertainties. Descriptive works on the energy sector and the Russian economy are numerous, but in-depth econometrical analysis is still limited. This project is an attempt to fill this gap in Russian studies.

 

研究課題 戦前期日本における地方政治と地域経済発展
研究代表者 岡崎哲二(東京大学大学院)
研究分担者
澤田康幸(東京大学大学院)、北村行伸(一橋大学経済研究所)、山崎潤一(London School of Economics and Political Sciences)、三浦憲(Brown University)
本研究は、府県統計書から得られる郡別統計データを分析することにより、明治から昭和初期の政策や歴史的事例が経済発展や地方政治に与えた影響を数量的に評価するとともに背後で機能していたメカニズムを明らかにし、戦前期日本(1883年-1930年頃)の地域経済発展プロセスの解明を目指すものである。より具体的には、(1)明治22年田畑地価特別修正および制限選挙制度に着目した、地主の政治力と公的教育支出との関係性、(2)国家的イベン ト(国会開設など)と税金の滞納額/政府の徴税能力との関連性、(3)地方政府と中央の通信頻度と地方財政の関係性、を分析する。本研究の主な特色は、(1)分析単位をより細かい郡に設定し、従来の国や府県レベルの分析とは異なる視点の提供、(2)戦前日本に存在 した特有の制度や政策を用いた経済理論の実証的検証 、の二点にある。

 

研究課題 日米におけるBMIと摂取カロリーのミクロ実証分析
研究代表者 井深陽子(慶応義塾大学)
研究分担者
森口千晶(一橋大学経済研究所)、阿部修人(一橋大学経済研究所)、稲倉典子(大阪産業大学)、Timothy Halliday(ハワイ大学)、Anthony Wray(一橋大学)
世界各国における肥満の増加は「21世紀の工ピデミック」とも呼ばれ、国民の健康と幸福を考える上で焦眉の課題である。日本でも近年「メタボ」が話題を集めるが、国際的にみると日本人のBMI(Body Mass Index、肥満度指数)は際立って低く、驚くべきことにどの年齢層においてもカロリー摂取量は長期的に減少 している(Maruyama & Nakamura 2015)。本研究では、「日本人にはなぜ肥満が少ないのか」の解明に向けて、政府統計個票データを駆使 して、日米におけるBMIとカロリー摂取量およびカロリー単価の推移を比較し、日本人のカロリー摂取量の決定要因を分析する。本研究の分析は、日本における健康資本の形成を理解するという学術的な貢献が期待されると同時に、肥満予防にとり組む世界各国に対して政策的な知見を与えるごとが期待される。

 

研究課題 Informal Sector and Income Inequality in Urban China
研究代表者 李 実(Beijing Normal University)
研究分担者
馬欣欣(一橋大学経済研究所)、鄧曲恒(Chinese Academy of Social Sciences)
China’s economy has maintained a high growth rate for 30 years. Simultaneously, income inequality has been increasing. Although most empirical studies have focused on the determinants of income inequality in China, empirical studies on the effect of the informal sector on income inequality are scarce.
As identified by Todaro (Todaro, 1969) while considering the informal sector in China, when urban unemployment exists, most migrants work in the informal sector, so self-employment is one kind of work status for migrants in China. In addition, with state-owned enterprise (SOE) reform, a section of employees with urban registration in the SOEs are laid off and some of them are re-employed in the informal sector.
In this project, using repeated cross-sectional data (China Income Inequality Project Survey (CHIPs)) and panel data(Household Income Survey of NBS), we conduct an empirical study to answer the following questions: (1) What makes an individual become a self-employed worker? (2) Do wage differentials affect entry into the informal sector? (3) Are the effects of these factors different for the migrant group and the urban registration resident group? (4) What determines the mobility of an individual from being an employee to becoming self-employed. Although some empirical studies on this issue exist for transition countries of Central and Eastern Europe countries (Earle and Sakova, 2000; Hanley, 2000) and on the issue of Mexico (Gong, van Soest and Villagomez, 2004), our empirical study is the first attempt to explore these issues in China.

 

研究課題 外国人労働に関する経済学的研究Ⅱ
研究代表者 山下直輝(ロイヤル・メルボルン工科大学)
研究分担者
相澤直貴(ミネソタ大学)、朝井友紀子(東京大学社会科学研究所)、浦川邦夫(九州大学)、神林龍(一橋大学経済研究所)、田中聡史(クイーンズランド大学)、橋本由紀(九州大学)、深尾京司(一橋大学経済研究所)、山口慎太郎(マクマスター大学)
旧来日系人を中心に外国人労働者を積極的に導入してきたのは、低賃金労働力を武器 と した製造業やサービス業中心といわれてきた。しかし、2012年前後より低賃金単純労働力は深刻な人手不足に直面する一方、2015年4月に施行された改正入管法により、日本に おける外国人労働力の導入は新たな局面を迎えた。本研究では、これまで十分に研究されてこなかった生産性や投資活動 (国内外への直接投資、人的資本投資)と、外国人雇用の関係について、データによって明らかにしようとする試みである。すでに2015年度にも同様のテーマで研究を開始しており、本研究はその継続を意図している。

 

研究課題 日本及び海外における若手・女性研究者の実態分析
研究代表者 三好向洋(愛知学院大学)
研究分担者
青木玲子(九州大学)、安部由起子(北海道大学大学院)、大野由夏(北海道大学大学院)、小原美紀(大阪大学大学院)、臼井恵美子(一橋大学経済研究所)、吉田恵子(桃山学院大学)、高橋新吾(国際大学)、高橋アナマリア(神戸大学)
学術研究のグローパル化と国際競争の進展を背景に、研究業績の重視や任期制・公募制の導入、研究者の女性比率の上昇等、日本の若手研究者の置かれた研究環境は近年大きく変化 している。本研究ブロジェクトでは、政府統計個票データを用いて、特に男女差や研究分野に着目しながら、大学院生や大学教員の採用 ・昇進 ・賃金等の実証分析を通じて研究者のキャリア形成や研究支援ニーズについて明らかにすることを研究目的とする。
米国では経済学分野の教育・研究に対する学術研究の蓄積が進展しているが、日本での研究は限定的である。本プロジェクトでは、文部科学省「学校基本調査」及び「学校教員統計調査」個票データを用いて、日本の高等教育機関・教員全体を分析対象とすることに特色がある。日本の大学における大学院生・教員の状況分析を通じて、研究者支援・育成政策提言の一助としたい。

 

研究課題 政府統計データを用いた秘密分散・秘密計算技術に基づく回帰モデルの実証分析
研究代表者 千田浩司(NTTセキュアプラットフォーム研究所)
研究分担者
高橋克巳(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、伊藤均(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、松岡浩平(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、吉良雄介(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、土井厚志(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、高橋慧(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、菊池亮(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、田中哲士(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、五十嵐大(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、濱田浩気(NTTセキュアプラットフォーム研究所)、小林良行(総務省統計研修所)、三神均((独)統計センター)、坂下信之(総務省統計研修所)、中松建((株)タクミインフォメーションテクノロジー)、白川清美(一橋大学経済研究所)、阿部穂日(一橋大学経済研究所)
【目的】
秘密分散・秘密計算技術に基づいたりモートアクセス型システムを構築することにより、暗号技術を用いたデータの機密性と可用性の高い環境下における回帰モデルのための実証分析を行う。さらに、政府統計ミクロデータを用いた大容量データへの適用の可能性とマーケテイングデータとのデータリンケージの実証分析を行うことにより、機密性、可用牲に有用性を加えたシステムの構築を目的とする。
【学術的特色】
政府統計ミクロデータのためのリモートアクセス型システムでは、データファイルの流出などのシステム以外の情報漏洩に関するリスク管理体制の整備が不可欠である。それゆえ、秘密分散による断片ファイルの秘匿分割保存や秘匿データを復号することなく結果が算出できる秘密計算技術に基づいたシステムを構築することにより、安全で、かつ迅速な政府統計ミクロデータの活用と複数の事業者が所有するマーケティングデータのデータリンケージした利便性の向上が可能となり、これまで実現しなかった実証分析の成果が期待出来る。

 

研究課題 観光が地域経済に及ぼす影響に関する計量分析
研究代表者 宮川幸三(立正大学)
研究分担者
菅幹雄(法政大学)、白川清美(一橋大学経済研究所)、芦谷恒憲(兵庫県企画県民部統計課)、大井達雄(和歌山大学)、伊藤伸介(中央大学)、阿部穂日(一橋大学経済研究所)
本研究の目的は、小地域における観光消費額を把握し、観光が地域経済に及ぼす影響に ついて分析することである。地域経済における観光の重要性の高まりに伴って、我が国の観光統計は拡充されつつあるが、地域という単位で考えれば、都道府県レベルの観光消費額すら的確には把握できていないのが現状である。しかし観光政策や観光振興といった観点からは、都道府県はもとより、市区町村、あるいは行政区画を超えたいわゆる「観光地」のような小地域単位での実態把握や施策の立案が望まれている。本研究は、各種観光統計や「経済センサス」等のミクロデータを合わせて利用し、これまでに分析することが困難であった小地域の観光経済に関する新たな分析手法を開発するものである。

 

研究課題 Geopolitics and Asia’s Little Divergence: State Building in China and Japan After 1850. 
研究代表者 Sng, Tuan-Hwee(National University of Singapore)
研究分担者
森口千晶(一橋大学経済研究所)、Mark Koyama(George Mason University)
This project is a comparative historical analysis of state building in China and Japan during the second half of the 19th century. It will build on a paper, “Asia’s Little Divergence: State Capacity in China and Japan before 1850,” by Tuan-Hwee Sng (the team leader) and Chiaki Moriguchi (the first contributor) published in the Journal of Economic Growth in 2014. In this earlier paper, we conducted a comparative study of Qing China and Tokugawa Japan and showed that state capacity in Japan was higher than in China even before the arrival of Western powers, due mainly to its smaller geographical size and lower agency costs in collecting tax.
The objective of this project is to extend our analysis and to explain the diverging paths of political development and state building in China and Japan after 1850 in  response to the Western threats. To do so, we first construct a novel theoretical framework that explicitly considers geopolitical nature of the threat and its impacts on state structure and  economic reforms. It is important to note that, for both China and Japan, the arrival of the West not only threatened their national sovereignty but also brought opportunities to adopt new technologies. We theoretically show that these threats produce an unambiguous tendency toward political centralization and economic modernization for geographically small states, but place conflicting demands on larger states. We then use our theory to understand why China, which had been centralized for much of its history, experienced gradual disintegration upon the Western arrival, and how Japan, which had been politically fragmented for centuries, rapidly unified and modernized during the same period. We provide comparative historical evidence in China and Japan that is consistent with theoretical predictions. To further demonstrate the validity of our model, we also apply our model to two other historical episodes of state building: the unification of Anglo-Saxon England in the 10th century and the rise of Muscovy during the 15th century.

 

研究課題 政府統計ミクロデータを用いた計量経済分析手法の新展開
研究代表者 池田欽一(北九州市立大学)
研究分担者
林田実(北九州市立大学)、児玉直美(一橋大学)、宇南山卓(一橋大学経済研究所)、出島敬久(上智大学)、伊藤伸介(中央大学)、佐藤慶一(専修大学)、松浦広明(松蔭大学)、村田磨理子((公財)統計情報研究開発センター)
本研究の目的は,政府統計ミクロデータを用いて様々な計量経済分析手法のさらなる可能性を探究することである。具体的には,税制と社会保障制度が企業の雇用戦略,家計の就業行動やワークライフバランスに対する政策的効果の評価を行うためのDifferences in Differences等の各種バイアスを考慮した現代的な推定手法の適用可能性,機械学習の方法論を援用した上での事業所・企業系等のリンクデータに基づいたモデル選択や変数選択に関する探索的な実証研究の可能性を探る。さらに,本研究では,社会保障政策や保健衛生政策が個人の就業状態、可処分所得さらには健康状態に及ぼす影響を動態的に把握するためのミクロシミュレーションによるアプローチの可能性も研究の対象とする。
本研究では,第1に,政府統計ミクロデータを用いて,企業の業績と財務状況の観点からワークライフバランスと賃金・雇用量の関連性について、経済理論に基づいた精密なモデル分析を行うことによって, 様々なバイアスの存在に注意しながら,現代的な手法で計量分析を行う。第2に、社会保障政策がワークライフバランスや健康状態に及ぼす影響に対する政策的効果を追究するために,個人の就業行動や健康状態・介護状況が稼得所得や非勤労所得を含む可処分所得やライフスタイルに及ぼす影響について,機械学習やシミュ レーションの手法を用いながら,データ特性を踏まえたパラメータの推定手法や予測手法を追究する。
それらによって,企業の雇用戦略と家計の就業行動,ワークライフバランスを対象にし た計量分析手法のさらなる展開を図ることが本研究の特色である。

 

研究課題 Is China’s New Normal a Great Recession? Comparative perspective on a century of industrial growth
研究代表者 Eric Girardin(Aix-Marseille University)
研究分担者 Harry X. Wu(一橋大学経済研究所)
Is the ‘New’ growth normal in China a return to old moderate growth or is it the beginning of a new period of long run stagnation? To address such a question one needs both to handle the mismeasurement inherent in China’s macroeconomic data and adopt a historical perspective able to tell us what was normal growth in China in the past.
The present paper will use available historical data on industrial activity in order to set China’s new normal into perspective by dating periods of normal and catching-up growth in China. This will search for evidence or otherwise supporting the mainstream hypothesis of three golden decades of rapid growth. The Chinese experience will be benchmarked against historical experience of rapid growth in Japan, Korea and Taiwan. The Japanese experience of industrialization is especially valuable in as much as post-2010 slowdown in China may bear similarities to the post-1973 and post-1990 slowdowns in Japan. We will use one-century plus of reconstructed data for industrial value added and energy output dating back to the last decade of the 19th century or the early decade of the 20th century.

 

研究課題 日本の六次産業化と農商工連携による農業ビジネスモデルの評価:台湾農村の地方創成への応用
研究代表者 鍾秋悦(屏東科技大学)
研究分担者
北村行伸(一橋大学経済研究所)、丸 健(一橋大学経済研究所)
台湾では南部を中心に、生産農家の高齢化と後継者不足によって農作放棄地が拡大している。地元産の農作物を扱っている食品加工工場は、農作物の収穫量の減少に伴い閉鎖に追い込まれており、地場産業の哀退が著しく、住民の転出が進んでいる。食料の安全保障の観点から農業は欠かせない産業である。農村および農業の再生のためには、地域に若者を中心とした雇用を創出し、安定的な収入を確保することが有効であるが、その鍵の一 つは農業の附加価値を高くして儲かる農業を作ることにある。
高齢化に台湾より早く遭遇している日本では、2005年に農林水産省が「食料産業クラスター」を推進する事業をスタートさせた。食料産業クラスター事業は、「農工商連携事業」と「六次産業化」を推し進め、農作物の付加価値を高めることによって、農業や地方を活性化させることを目標に掲げている。
台湾も、日本と同様の事業を導入し、農業の活性化に向けた道筋を立てることが期待される。しかし、日本で行われている「食料産業クラスター」事業の有効性に関する定量的な評価は行われていないため、その是非について検討することが出来ない。
そこで本研究では、日本の食料産業クラスターに関する一連の農業政策について取りまとめたうえで、農工商連携と六次産業に認定された事業者について経済分析し、農村が成長する持続可能なビジネスモデルを探るとともに、台湾の農業再生に向けた政策提言について明らかにすることが目的である。

 

研究課題 Fiscal Stimulus and Household Consumption in a Deep Recession: Evidence from Japan’s Lost Decade
研究代表者 David E. Weinstein(Columbia University)
研究分担者
Cameron Lapoint(Columbia University)、宇南山卓(一橋大学経済研究所)
Policymakers often introduce stimulus packages at the onset of an economic downturn to mitigate the severity of oncoming recessions. They provide income tax rebates to primarily low and middle-income households, with the hope that recipients with high marginal propensities to consume (MPCs) will respond to this increase in their disposable income by raising their expenditures. Yet, little is known about the efficacy of such stimulus polices when they are enacted in the midst of a deep recession versus at the onset. During the recent Great Recession in the U.S., many eminent economists such as Paul Krugman repeatedly called for continued stimulus packages throughout the recession even after government implemented the Economic Stimulus Act (ESA) in 2008 and the American Recovery and Reinvestment Act (ARRA) in 2009. In light of such arguments, we examine changes in Japanese household expenditures to assess whether the aggregate demand response to stimulus payments differs based on how long the economy has been suffering prior to payment disbursement. Japanese fiscal policy in the post-bubble 1990s included payments of temporary stimulus tax refunds during two similar episodes in 1994 and 1998. These policies provide natural case studies to determine the effect of countercyclical stimulus timing on aggregate demand. We hope results from this study will demonstrate the importance of timing relative to the beginning of the recession as a consideration when policymakers design stimulus packages.

 

研究課題 日本の所得・貯蓄格差に関する実証分析:税制度、ワーク・ライフ・バランスの視点から
研究代表者 坂本和靖(群馬大学)
研究分担者
北村行伸(一橋大学経済研究所)、宮崎毅(九州大学大学院)、大野太郎(信州大学)、森田(山本)陽子(名古屋市立大学大学院)
日本のみならず、世界各国において、所得格差拡大に関する研究が数多く存在する。特に、日本においては、1990年代以降の所得格差の増大の理由として、人口構成(高齢化)や、雇用者構成(非正規社員率の増加)、男女間格差などに着目する研究が多い。本研究では、公的統計などを活用しながら、当初所得のみならず、所得税などによる調整を経た再分配所得を観察対象としながら、1990~2010年代における所得格差に関する研究を行う。 またそれに伴い、政府の所得再分配機能の強化は政策課題としての重要性を高めており、 税制の所得再分配効果についても検証を行う。
日本では、1984年の税制改正以降、90年代終わりまで一貫して所得税の税率引き下げとブラケットの縮減が行われた。ごうした税制改正が所得再分配効果を弱めたのかに関しての研究も行われているが、近年ではこうした再分配政策が年齢階層によって異なる影響を与えることが指摘されている。本研究では、年齢階層によって税率と控除による所得再分配効果がどのように異なるのかを明らかにする。税制の所得再分配効果には、税率効果と課税ベース効果の二つがあることから、年齢階層別に税率効果と課税ベース効果を計測する。また、こうした所得格差や所得分配は、地方と都市で様相が異なる可能性があり、中国では地方と都市部の所得格差に関する研究が多く蓄積されている。そこで、日本の1980年代以降の個票データを用いて、地域間 、特に地方と都市部で税制による所得再分配政策がどのような影響を与えたのかを分析する。また、OECD諸国やブラジル、カナダを対象として、財政再建が所得格差に与える影響が分析されている。そこで、財政再建が大きな課題となっている日本について、財政再建が所得格差に及ぼす影響の研究も行う。
また所得格差拡大の要因に関する視点として、所得源泉別の所得格差・不平等への貢献に関する研究を行う。1990年代後半以降、かつて日本の多くの有配偶世帯で見られた「片働き世帯」の数は減少し、「共働き世帯」 数がそれを大きく超えている状態が続いている、 主稼得者である夫の付加的な就労という立場から、夫妻共同で世帯を支える世帯が増えている。このような女性の就業状況の変化がもたらす所得格差への影響について確認したい。
近年のワーク・ライフ ・バランス施策などの影響から、女性の継続就業、再就業が促されることで、就業継続し続ける女性の増加が世帯内所得、および社会全体の所得の格差に与える影響を考察する。
さらに所得稼得上の変化は家計の貯蓄形成にも大きな影響を与えることが予想される中、その実態を明らかにするためにはマクロ・データでは十分に対応できず、個々の世帯レベルまで把握することが要求される。日本における家計収支関連のデータとしては『家計調査』があるが、年間ベースで捉える非消費支出(税 ・社会保険料)には過小性があることが確認されており、このことは貯蓄の計測にも影響を与える。そのため、本研究では そうした統計上の性質を回避するアプローチを提示し、家計貯蓄の動向とその背景・寄与 についても考察する。

 

研究課題 Evaluating the Impact of Microcredit Schemes Targeted towards the Ultra-Poor in the River Islands of Northern Bangladesh
研究代表者 伊藤成朗(IDE-JETRO)
研究分担者
黒崎卓(一橋大学経済研究所)、Abu Shonchoy(IDE-JETRO)、高橋和志(上智大学)
Although successful in reaching out to millions of the under-banked in developing countries, microcredit is typically not offered to the poorest of the poor or the ultra-poor (Armendariz, B. and J. Morduch, The Economics of Microfinance, Second edition, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2010). In an attempt to enhance the welfare of the ultra-poor through microcredit provision, therefore, we implemented a four-year research project in FY2012-15(JSPS Grant-in-Aid for Scientific Research (B)-24402023, project leader Seiro Ito)to understand the effectiveness of “packaged” microcredit on the ultra-poor as an alternative to standard microcredit. Specifically, we randomly provided different microcredit schemes that were designed to unbundle the underlying mechanisms such as the lack of entrepreneurship and a long gestation period of income-generating projects. The first-stage research outcome regarding the uptake decision of borrowers has been published in a reputed field journal (Takahashi, K., A.   Shonchoy, S. Ito, and T. Kurosaki,“How Does Contract Design Affect the Uptake of Microcredit among the Ultra-poor? Experimental Evidence from the River Islands of Northern Bangladesh,“Journal of Development Studies, DOI:10.1080/00220388.2016.1156092. Published online: 29 April 2016). The next-stage research outcome is about the impact of those credit schemes on repayment, livelihood strategies, and household welfare, for which we want to use this IER fund.
Our research involves the first experiment that directly gives the loan to the ultra-poor from the initial stage. Inspired by “Challenging the Frontiers of Poverty Reduction-Targeting the Ultra Poor""(CFPR-TUP) by BRAC -world’s biggest NGO based in Bangladesh -, several existing programs targeting the ultra-poor are all an asset (usually livestock) transfer model rather than a loan. The basic assumption of these existing programs is that the ultra-poor are too poor to be creditworthy, and a gift of asset can help them “graduate” from extreme poverty and convert them into a client of microcredit in the future. Our study challenges these conventional views and examines whether the ultra-poor can manage loans well and be better-off if appropriate credit designs are introduced.
Thus far, we have conducted three rounds of household surveys in the study area (i.e., the baseline surveys and two follow-up surveys) under the JSPS funding. The research objectives of this IER-funded project are to implement the additional (third follow-up) survey, combine the information with previous surveys, and conduct quantitative analysis to evaluate the long-term impact of microcredit. The third-round household survey will allow us to evaluate the full impacts of microcredit schemes as it covers the period after all credit clients complete repayment.
The research outcome is expected to contribute to the academic understanding of how microcredit works in reducing the extreme poverty and to the improvement in microcredit designs in development practice. Regarding the former, we can particularly deepen our understanding of the role of entrepreneurship and asymmetric information in credit markets.

 

研究課題 フィリピン長期経済統計の作成と分析
研究代表者 神門善久(明治学院大学)
研究分担者
永野善子(神奈川大学)、尾高煌之助(一橋大学)、千葉芳広(北海道医療大学)
この研究は、十九世紀末からニ0世紀半ばまでのフィリピンの国内支出(GDE)の時系列統計の推計を目的とする。同国の長期GDE系列はかつて作成されたことがないので、本研究の統計シリーズが完成し、第二次大戦後の同国GDE統計と接続されれば、フィリピンの国内支出の動向が初めて明らかになる。
とりわけ本研究計画は、人的資本の経済効果に関する近年の研究蓄積をふまえ、未着手のフィリピン人的資本系列を作成するところに著しい特徴がある。
本研究が完成すれば、フィリピンの経済発展の全体像を数量的に俯瞰できる。フィリピンは、(いわゆる) Asian tigersとは異なる経済発展の形態を辿ってきた。その理由と結果とを経済学的に明らかにするのは、開発経済学や地域経済学の大きな関心事であるが、本研究は、彼らの期待に応えるための基礎づくりとして高い意義を有する。

 

研究課題 過剰労働と企業の利益率:日本の製造業における実証分析
研究代表者 西岡修一郎(ウェストバージ二ア大学)
研究分担者
深尾京司(一橋大学経済研究所)
日本の製造業は、過剰労働を抱えた企業が多いと言われている(金、池内、権、深尾、2016) 。 経済学では企業は利益を追求するものと考えられているが、日本では雇用を守ることを重視した企業も少なくない。雇用を守ることで、不平等の少ない社会の実現に貢献してきたと考えられる一方で、過剰労働を抱えたことによって思うように利益を追求できない企業もあると考えられる。また、もし日本企業が経済学の本質とは異なる雇用の最大化を目的としているのであれば、その目的を踏まえた上で経済政策や地方活性化策を立案しなければ、思うような結果を上げることはできない。企業の利益率は、日本の長期的な法人税収の動向や法人税改革を考える上でも、極めて重要な研究課題であると考えられる。

 

研究課題 Cross-stock market spillovers through variance risk premiums and equity flows
研究代表者 Ilhyock Shim(Bank for International Settlements)
研究分担者
杉原慶彦(日本銀行)、服部正純(一橋大学経済研究所)

In our research project, we investigate cross-country correlations of variance risk premiums (VRPs) calculated from their stock markets, and test our conjecture on the US based mutual fund flows as a path through which variance risk premiums spill over globally. The research project embeds two novel features. First, estimation of variance risk premiums in selected emerging market economies’ (EMEs’) stock markets is unprecedented to our knowledge. Therefore, gauging degree of variance risk premiums’ correlations between the advanced economies’ (AEs’) and EMEs’ stock markets is unprecedented too. On top of these, investigation of the background for the VRPs’ cross-stock market correlations is a new contribution. Specifically, we investigate impact of VRP of the stock markets in the United States (US) on other markets’ VRP via the equity fund flows from the US based mutual funds.
Our motivation to investigate the issues academically is as follows. The recent international financial crisis of 2007-09 has prompted renewed academic interest in financial market volatility. In particular, many papers have found that fluctuations in a measure of volatility such as the Chicago Board Options Exchange (CBOE) Market Volatility Index (in short, the VIX index) are strongly associated with variations in asset prices, leverage, credit provision, capital flows and, more generally, financial conditions. At the same time, more attention has been given to the pricing and volatility of the VIX index which has been traded at CBOE since 2004 as a financial product. 
Since the variance of asset returns fluctuates over time (that is, volatility itself is volatile), variance is accompanied by risk premium, namely variance risk premium. VRP is a natural extension of the general risk premium required for return risk, and is defined as the difference between variance, or more formally quadratic variations, under the real probability measure and that under the risk-neutral measure. The estimator of the former is known as realized variance (RV) computed from intra-day price data. The estimator of the latter is known as the model-free implied volatility or the VIX index (IV) which has been established and widely used in the financial industry. In theory, both RV and IV as well as VRP are defined as an instantaneous value. In practice, however, RV can only be estimated as an ex-post one-day value, while IV as an ex-ante one-month value. Because of this difference, we need a model for variance to bridge the two estimates in order to detect VRP.
VRP can be decomposed into two risk premiums: the variance-diffusive risk premium (DRP) and the variance-jump risk premium (JRP). While DRP originates from the continuous part of a price process, JRP is derived from the discontinuous part of it. DRP evaluates the risk of ordinary continuous changes in the scale of uncertainty that market participants seek to compensate for. Hence, it would describe market investors' aversion to predictable scale of uncertainty, or “known unknowns.” On the other hand, JRP is claimed for the possibility of extraordinary and discontinuous price changes. It therefore represents markets' fear of unpredictable scale of uncertainty, or “unknown unknowns.” Market participants may require a substantial amount of JRP during financial turmoil, as it is very difficult for them to anticipate jump risk. DRP and JRP are likely to be time-varying.
As mentioned, a novel feature of our approach is that it considers a specific channel of contagion from VRP in the US stock market to VRP in other countries’ stock markets via equity fund flows. Since the US equity fund flows via US mutual funds toward stock markets in other economies are arguably a substantial driver for dynamics of global financial markets, our analysis will contribute to understanding its degree of influence as a dynamics driver, especially in the context of global contagion of VRPs. Some preceding papers investigate the relationship between global fund flows and volatilities in stock markets identified as the VIX index in sample economies. Our paper is different from them in the sense that we focus on VRP, which is derived from the VIX index, not the VIX index itself. In other words, we aim to distill investor’s risk premium itself associated with the volatility of stock returns and investigate relationship between it and cross-country equity fund flows, which is unprecedented.

 

研究課題 Land reforms and agricultural productivity in India
研究代表者

Rasyad A. Parinduri(University of Nottingham Malaysia Campus)

研究分担者
Saumik Paul(一橋大学経済研究所)、黒崎卓(一橋大学経済研究所)
Institutions such as land reforms shape long-run economic development (Acemoglu, Johnson, and Robinson, 2005) in terms of both efficiency and equity (Otsuka, 2007). Besley and Burgess (2000), using panel data on 16 major Indian states from 1958 to 1992, show that land reforms correlate with poverty reduction and higher economic growth. Going one step further, Banerjee and Iyer (2005) find that regions in India where proprietary rights of land were given to large landlords (the zamindari system) had significantly lower productivity in the post-independence period. Persistent colonial institutions, therefore, may reduce the efficacy of the land reforms, which points to the need for a better understanding of the relative efficacy of land reforms across Indian states whose colonial institutions differ.
We plan to reexamine the effects of land reforms on agricultural productivity across the 16 major Indian states. Following Besley and Burgess (2000), we consider four types of land reforms: tenancy reforms, abolition of intermediaries, ceilings on landholdings, and consolidation of land holdings. We want to answer two research questions: (1) how land reforms varied across states whose experiences of colonial institutions differ, and (2) to what extent the colonial institutions curbed the efficacy of the land reforms.

 

研究課題 起業の希望と準備の個人的要因の長期的動向 :1979年~2012年
研究代表者 岡室博之(一橋大学)
研究分担者
白川清美(一橋大学経済研究所)、阿部穂日(一橋大学経済研究所)、松田尚子(経済産業研究所)、池内健太(経済産業研究所)、土屋隆一郎(東洋大学)
日本では1990年代以降起業活動が長期的に低迷し、さまざまな政策措置が執られているが、その要因はまだ十分に明らかにされていない。本研究は、総務省 「就業構造基本調査」のミクロデータを用いて、どのような属性や就業経験を持つ個人が起業を希望し、準備する傾向があるのかを、計量的に明らかにし、その長期的な変化を分析することにより、近年の日本における起業活動の低迷の原因を探求するものである。起業の個人要因に関する実証研究が多いが、起業プロセスの初期段階、すなわち起業の意識  ・希望と準備の要因分析は乏しく、政府統計のミクロデータを用いた長期的傾向の分析は世界的にも類を見ない。代表的かつ大規模なサンプルを用いることにより、30代無業女性のように対象グループを限定した分析も可能である。