研究課題 | 家族政策が女性の就業と子供の発達に与える影響の評価 |
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研究代表者 | 朝井友紀子(東京大学社会科学研究所) |
研究分担者 | 山口慎太郎(マクマスター大学)、神林龍(一橋大学経済研究所) |
本研究では、保育及び育児休業制度に代表される家族政策が、女性の就業と子供の発達に与える影響を評価する。女性の就業については、賃金、就業時間、雇用の安定性、職業訓練の機会といった「仕事の質」に与える影響や、その効果が長期的に持続するかどうかについて特に注目して分析を行う。子供の発達については、認知・身体能力に加え、健康面への政策効果を評価する。親と子供のかかわり方や、子供に対する人的資本投資にも着目することで、家族政策が子供に影響を与えるメカニズムも明らかにする。
我が国における先行研究では、因果関係と相関関係を明確に区別するような分析はあまりなされてこなかった。本研究では、固定効果法や操作変数法などを適用することで、政策の効果、つまり因果関係の識別を慎重に行い、より信頼性の高い結果の導出を試みる。
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研究課題 | Mind the gap:does gender pay gap influence fertility decisions? |
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研究代表者 |
Ekaterina Selezneva(Institute for East and Southeast European Studies)
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研究分担者 |
Tatiyana Karabchuk(National Research University)、雲和広(一橋大学経済研究所)
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This study aims at examining economic conditions of two genders in the labor market and their effects on the probability of giving birth. More precisely, the aim of this study is to investigate the effects of division of labor among households, gender wage gap, or gender segregation more broadly, on individual woman’s decision to give a birth.
Most of the gender studies in Russia and the Former Soviet States belong to the period after the collapse of the Soviet Union. Regardless the few existing studies, a relationship between gender pay gap in labor market and within individual households, and the effects of those on fertility is not yet investigated. Previous literature on demography and fertility has revealed that normative sense critically affect the probability to give birth. The current study addresses the question of the gender gap and fertility relationship both in Russia and the Former Soviet States.
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研究課題 | 税制や育児支援が就業や所得格差に及ぼす影響に関する考察:地域やライフサイクルイベントの視点から |
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研究代表者 | 大野太郎(尾道市立大学) |
研究分担者 | 坂本和靖(群馬大学)、森田(山本)陽子(名古屋市立大学)、北村行伸(一橋大学経済研究所)、宮崎毅(九州大学) |
近年、所得格差の拡大に伴って、日本における所得格差を拡大させる要因に関する分析が行われるようになった。これらの研究では、高齢化や若年者における所得格差拡大が全体の所得格差を拡大させる要因であることが指摘されている。所得格差拡大を軽減させるための政府の役割には所得再分配機能があるが、近年では所得税における所得再分配機能が低下していることが指摘されている。そのため、個票データを用いて所得税や社会保障の所得再分配機能について調べた論文も多く蓄積されている。
こうした所得格差や所得分配は、地域間で様相が異なる可能性がある。中国では地域間所得格差に関する研究が多く蓄積されており、例えばYang(1999)では、地方と都市部の所得格差が全体の格差の大半を占めており、セクター間の所得ギャップの拡大が所得格差を拡大させたこと、またその要因として都市部への補助金や投資などが挙げられている。他にも家計データを用いて地域間格差を分析した研究が蓄積されている。日本では、都道府県データを用いて都道府県間の経済格差を分析した研究があるが、個票データを用いた地域間比較の分析はほとんどない。このように地域間の所得格差に関する研究は日本ではほとんど行われていないが、実際には地域間格差が存在しており、日本の個票データで地域間格差の実態を明らかにすることは重要な課題だと考えられる。
加えて、ファミリー・フレンドリー施策などの育児支援が女性の就業行動に及ぼす影響についても検証したい。具体的には、女性のライフサイクルにおける、結婚、出産、子どもの就学などイベント前後における就業変化の在り様の推移を時代別に捕捉するだけでなく、イベント前における就業先におけるファミリー・フレンドリー関連の制度利用状況の違いが、就業行動にどのような影響を及ぼすか、特に先行研究事例が少ない、子どもの小学校入学時点における就業変化について検証する。
また、女性の就業状況の違いがもたらす、夫妻間における所得の配分の変化についても、考察する。妻が就業継続できることとなり、世帯員間における所得源泉の変化が夫妻間での消費行動、余暇・家事育児行動 (Browning, et al.2006)、夫妻間の所得・消費格差にどのような影響(Lise and Seitz 2011)を与えるのかを検証する。
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研究課題 | 家計における消費者在庫の動学的需要分析 |
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研究代表者 | 加納和子(武蔵野大学) |
研究分担者 | 阿部修人(一橋大学経済研究所)、加納隆(一橋大学) |
本研究では、過去に収集した消費者在庫のデータをもとに、消費者在庫ストックの実態とその統計的な特性を明らかにし、現実の消費者行動により即した動学的状態依存需要モデルを構築することを目的とする。産業組織論やマーケテゖング理論において、消費者の需要行動を考察する際、消費者在庫が重要な役割を果たしていることは以前から認識されてきた。しかしながら、消費者在庫ストックは一般に直接観察することが不可能であるため、現在まで何らかの仮定のもとで間接的に推定されるのみであった。この研究では、過去に収集した消費者在庫のデータを用いることにより、消費者在庫の実態の解明を行い、より実態に即した消費者動学モデルの構築を行い、既存研究の妥当性を検証する。この研究は、消費者の在庫データを活用するという点で前例のないものであり、また、消費者の動学的行動に対するより深い理解を得ることに貢献するものである。 |
研究課題 | 大規模小売調査パネルデータを用いた新しい物価データ予測 |
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研究代表者 | 田中晋矢(小樽商科大学) |
研究分担者 | 植松良公(統計数理研究所)、外木暁幸(一橋大学経済研究所) |
近年のデータ整備状況の著しい発展により,週次・日次といった短周期かつ大規模なミクロ物価パネルデータの利⽤が可能となってきている.これら週次・日次の物価データを⽤いてより周期の⻑いマクロ物価データ,例えば月次の消費者物価指数(CPI)を⾼い精度で予測することができれば,重要な政策変数の動きをより速くかつ正確に把握できることになり非常に有益であろう.しかしここで予測する変数と予測に⽤いる変数との周期の違いが問題となる.近年このような周期の異なる変数を⽤いた予測を可能とするMIxed DAtaSampling (MIDAS)回帰という新しい予測手法が注目されており,我が国では未だ認知度が低いが既に他の先進諸国では経済予測での有⽤性が報告されている.本研究課題ではMIDAS回帰を大規模ミクロ物価データに応⽤し,その有⽤性を検証することが目的である. |
研究課題 | Understanding the heterogeneity of income growth across income quantiles in Japan |
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研究代表者 | Saumik Paul(University of Nottingham) |
研究分担者 | 北村行伸(一橋大学経済研究所)、黒崎卓(一橋大学経済研究所)、小塩隆士(一橋大学経済研究所) |
A defying image of Japan’s income and wealth distribution, which one would otherwise expect alongside social equality, has emerged in recent years. The gini coefficient of primary income has grown from .39 in 1962 to .49 in 2002, whereas the gini coefficient of redistributed income has also risen from .34 to .38 during the same period (Tachibanaki, Evolution of the Economic System in Japan, 2005). Moreover, earnings of the top decile continued to be in the vicinity of 200% of median income (Moriguchi and Saez, Review of Economics and Statistics, 2008). While existing evidence on overall inequality (e.g., gini coefficient) and income / wealth shares of top decile suggest tentative movements of inequality over time, it fails to account for the main drivers of the heterogeneity of income growth across quantiles. A range of factors, among others, aging population, growing number of single mothers, growth of contractual jobs with lower pay or a combination of them could possibly explain such heterogeneity. With an imminent threat of a widening income gap in Japan in coming decades (Piketty, Capital in the Twenty-First Century, 2014), it is imperative that further research is needed to examine the link between such household characteristics / demographic factors and income growth at each income quantile. This study aims to bridge this knowledge gap. We expect this study to provide us with a holistic picture of inequality in Japan - not only complementing the existing pool of evidence, but also suggesting remedial policy measures. |
研究課題 | 外国人労働に関する経済学的研究 |
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研究代表者 | 橋本由紀(九州大学) |
研究分担者 | 深尾京司(一橋大学経済研究所)、神林龍(一橋大学経済研究所)、山下直輝(RMIT大学)、山口慎太郎(マクマスター大学)、田中聡史(クイーンズランド大学)、相澤直樹(ミネソタ大学)、浦川邦夫(九州大学)、白川清美((一橋大学経済研究所)、阿部穂日(一橋大学経済研究所)、朝井友紀子(東京大学社会科学研究所) |
労働力人口の現象と少子高齢化が進行し、最低賃金の実質的な上昇も続く中で、遊休労働力由来の低賃金を基盤としたビジネスモデルは立ちゆかなくなりつつある。1990年代以降外国人労働者を導入してきた事業所群は、すでに深刻な人手不足に対処してきたといえ、彼らの経験を析出することは現在の日本の経済成長のメカニズムに示唆を得るために重要である。そこで本研究では、これまで十分に研究されてこなかった生産性や投資活動(国内外への直接投資、人的資本投資、社会資本投資)と、外国人雇用の関係について明らかにしようとするものである。 |
研究課題 | 日本及び海外における若手・女性研究者の実態分析 |
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研究代表者 | 高橋新吾(国際大学) |
研究分担者 | 青木玲子(九州大学)、安部由起子(北海道大学)、上田貴子(早稲田大学)、大野由夏(北海道大学)、小原美紀(大阪大学)、臼井恵美子(一橋大学経済研究所)、吉田恵子(桃山学院大学)、高橋アナマリア(神戸大学)、三好向洋(愛知学院大学)、Valerie Smeets(Aarhus University)、Frederic Warzynski(Aarhus University) |
学術研究のグローバル化と国際競争の進展を背景に、研究業績の重視や任期制・公募制の導入、研究者の女性比率の上昇等、日本の若手研究者の置かれた研究環境は近年大きく変化している。本研究プロジェクトでは、政府統計個票データを用いて、特に男女差や研究分野に着目しながら、大学院生や大学教員の採用・昇進・賃金等の実証分析を通じて研究者のキャリア形成や研究支援ニーズについて明らかにすることを研究目的とする。
米国では経済学分野の教育・研究に対する学術研究の蓄積が進展しているが、日本での研究は限定的である。本プロジェクトでは、文部科学省「学校基本調査」及び「学校教員統計調査」個票データを用いて、日本の高等教育機関・教員全体を分析対象とすることに特色がある。日本の大学における大学院生・教員の状況分析を通じて、研究者支援・育成政策提言の一助としたい。
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研究課題 | 資本財の異質性と取得形態別投資⾏動―新設,中古,⼤規模改修,リースの選択 |
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研究代表者 | 外木好美(神奈川大学) |
研究分担者 | 浅子和美(立正大学)、嶋恵一(三重大学)、外木暁幸(一橋大学経済研究所)、中村純⼀(日本政策投資銀行) |
日本経済は「失われた20年」と言われ,生産性の低迷と過剰資本が取り沙汰されてきた.申請者は,これまで資本財別の異質性を織り込んだ “Multiple q”による投資関数やリアルオプションに基づく設備投資のハードルレートの推計など,ミクロデータを用いた日本企業の設備投資行動の研究に取り組んできた.本課題でも,投資行動の実態や生産性低迷の背景に関して,新たな知見と政策的含意を追及する.これまで取り組んできた研究では上場企業の財務諸表データを用いてきたが,本研究では,個票申請中の内閣府「民間企業投資・除却調査」の調査票を利用することで,未解明であった企業の詳細な設備投資行動の分析を行う.具体的には,これまで同一視されてきた新設,中古,大規模改修の違いや,企業財務と深く係るリースによる設備投資行動を解明する. |
研究課題 | ワークライフバランスの進展と企業の生産性および社会保障政策との関連性 |
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研究代表者 | 佐藤慶一(専修大学) |
研究分担者 |
林田実(北九州市立大学)、児玉直美(一橋大学経済研究所)、出島敬久(上智大学)、伊藤伸介(中央大学)、村田磨理子((公財)統計情報研究開発センター)、池田欽一(北九州市立大学)、松浦広明(松蔭大学)
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本研究の目的は,ワークライフバランスの進展が企業の生産性と雇用状況に与える影響,さらに社会保障政策との関連を定量化することである。具体的な分析対象としては,他の先進国とのワークライフバランスのあり方の差を踏まえ,日本の外資系企業(Inward FDI)や海外進出企業(Outward FDI) ,さらにはCSR(企業の社会的責任)に取り組む企業における女性の働き方を念頭においた多様な人材の活用(diversity)が挙げられ,年金などの社会保障制度等との関係も検討課題になる。
本研究においては,政府統計ミクロデータを用いて,まず労働需要側の分析として,企業の業績と財務状況の観点からワークライフバランスと賃金・雇用量の関連性について精密なモデル化を行うことによって,統計的・計量経済的な検討を行う。さらに労働供給側の分析として,ワークライフバランスと社会保障政策との関連性を追究するために,個人の就業行動や健康状態・介護状況が稼得所得や非勤労所得を含む可処分所得やライフスタイルに及ぼす影響を明らかにする。
それらによって,企業の雇用戦略と家計の就業行動,ワークライフバランスの進展との関係を総合的に明らかにすることが本研究の特色である。
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研究課題 | 府県統計書を用いた郡レベルのデータの整備、及び戦前期の地域経済発展について |
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研究代表者 | 澤田康幸(東京大学) |
研究分担者 | 北村行伸(一橋大学経済研究所)、山崎潤一(London School of Economics and Political Sciences)、三浦憲(Brown University) |
この研究の目的は、従来紙媒体またはマイクロフィルムにて入手可能であった府県統計書に記載されている郡レベルの各情報をデータ化し、それを使い日本の戦前の経済成長を地域レベルで分析することを主眼としている。特色としては従来この文脈において府県レベルであった分析を地域レベルまで精緻化することで、府県レベルでは見にくい現象(例えば都市化や産業立地など)を扱えるようになること、また府県統計書に記載されている様々な構報を統合的に扱うことで、気象、衛生、教育、地方財政、産業などの相互連関を見ることが出来るようになることがあげられる。また、戦後のデータと接続することで、当時の政策などの影響が今日まで及んでいるのかを検証することが出来る。一例として、明治29年の田畑地価特別修正による地租軽減の小作率や産業化などへの影響があげられる。 |
研究課題 | 制度と規範の相互関係と、正統性を巡って |
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研究代表者 | 坂井豊貴 (慶應義塾大学) |
研究分担者 | 後藤玲子(一橋大学経済研究所)、吉原直毅(一橋大学経済研究所)、坂本徳仁(東京理科大学)、神林龍(一橋大学経済研究所)、吉田博之(日本大学) |
経済学では制度を「ゲームのルール」のように扱うことが非常に多い。とりわけメカニズムデザイン・契約理論・法と経済学など、ミクロ経済学を基盤とする応用分野はそのアプローチを採る。だが制度とはゲームのルール以上のものであり、プレイヤーである人間の規範意識を変容させ、思考と行動を変えうる。例えば刑法という制度は「他人を傷づけると罰されるから、それはすまい」のみならず、「他人を傷つけるのは悪なのだ」という規範意識を人に与えうる。また、一人一票の選挙制度は、選挙の実行のみならず、「政治の場において人は平等なのだ」という意識を与えうる。また、逆に、いかにゲームのルールとしてはよく出来ていても、その正統性に人々が疑義を持つ場合は、人は自分に不利になろうともゲームのルールが期待する通りには動かないだろう(正規の手続きを経ないで押し付けられた制度には従いたくない)。本プロジェクトではこれら「制度と規範の相互関係」や「制度の正統性」について、諸知見を用いて考察する。 |
研究課題 | Natural assets, comprehensive wealth, and living standards in Japan since the 1870s |
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研究代表者 |
Jean-Pascal Bassino (Ecole Normale Supérieure de Lyon)
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研究分担者 | 深尾京司(一橋大学経済研究所)、斎藤修(一橋大学経済研究所)、攝津斉彦(武蔵大学)、高島正憲(一橋大学経済研究所) |
1.A Overall presentation
The envisaged research includes two projects focusing on the relationship between indicators of
environmental sustainability and living standards in Japan.
During the last decade, the calculation of Genuine Savings (GS) has become a standard approach in the empirical assessment of (weak) sustainability. This approach pioneered by researchers of the World Bank (Hamilton and Clemens 1999) has been initially employed for developing countries. The calculation of GS is based on estimates of total national wealth (comprehensive wealth, CW), also calculated by the World Bank for a number of developing countries (World Bank 2006). Estimates of CW are obtained by aggregating the value of natural, human, and produced capital. GS is the net value (negative or positive) obtained by combining changes in stock values of the different components of CW over a given period of time (in general one, five, or ten years). The two main advantages of the GS approach are (i) to be based on straightforward and easily replicable estimation procedures, (ii) to convey to decision makers (who were initially national governments of developing countries, i.e. clients of the World Bank) a much clearer message than a simple adjustment of national accounts for the consumption of natural capital (e.g.Bartelmus 2009). GS has been also used recently for analyzing historical trends in the relationship between sustainability and living standards using country-level series for European countries and the United States, with times series going back to the pre-industrial revolution period, e.g. Greasley et al. (2014) for Britain and Lindmark and Acar (2013 for Sweden.
However, the GS approach suffers from a number of limitations:
(i) From a theoretical viewpoint, the relevant indicator of sustainable wellbeing is not a flow (GS) but a stock: the value of CW per capita (Dasgupta 2001, 2009). Population growth results in a “dilution” of CW, particularly its natural capital component (the human and physical capital components can be accumulated at a pace exceeding demographic growth; this is rarely the case for natural capital);
(ii) GS is convenient for providing a snapshot (or for a study covering a short time span) but it is not well suited for an investigation of long-term trends. Against this background, the empirical study by Arrow et al. (2012) estimating CW for China, Brazil, India, the United States, and Venezuela has a number of attractive features. This study covers a recent period, and only a short period of time (1995-2000), but it can be a source of inspiration for an economic analysis of the link between sustainability and living standards over a century or more. In particular, Arrow et al. (2012), which use per capita GDP as indicator of living standard, consider time as an asset and take into account TFP growth.
Some issues remain however unsettled or under discussion in the estimation of CW. In particular, Arrow et al. (2013) acknowledge that the standard procedure used for estimating the value of natural assets (and therefore CW and GS) ignores the value of fish stocks; the same remarks applies to the value of biodiversity. These types of assets are overlooked due to data limitations and difficulties in assessing the risk of loss of resilience. Furthermore, the calculation of GS and CW is undertaken at the country level. The implication is that the ownership, accumulation, and destruction of assets located in the rest of the world are overlooked. An additional limitation is that there is no clear consensus in the GS and CW literature on the treatment of intangible assets (excluding human capital; i.e. patents, know-how, institutions, and more broadly social assets). Hamilton and Liu (2014) follow a shortcut approach and regard intangible wealth as the ‘stock equivalent’ of total factor productivity. A final conceptual issue is related to the share of financial capital that is not backed by tangible assets and intangible assets (as defined above). Considering the magnitude and volatility of the stock of financial assets, and the intricate linkages between financial assets and natural assets, some clarification is required.
Below I describe the background and research objectives of the two projects (the list of references is at the end of section 2).
1.B - Project 1. Making the most of scarcity? Japanese natural assets since the 1870s
(Jean-Pascal Bassino, Kyoji Fukao and Osamu Saito)
Recent empirical work investigating the determinants of long run changes in living standards includes attempts by economic historian and environmental economists to estimate time series of the total value of natural assets for European countries and the Unites States as a component of total national wealth, i.e. CW and GS (e.g. McLaughin 2014). As a by-product, changes in stock value of natural capital per capita and in the composition of the stock of natural assets (including agricultural land) can be documented and analysed in a weak sustainability analytical framework. However, the literature dealing with historical trends in CW and GS does not take consider how institutional and technological changes, and the international economic integration has affected the access to and the management of natural assets by the different stakeholders in the 19th century, during the shift to modern economic growth, and in later decades. From that viewpoint, Japan appears as a particularly interesting case for at least four main reasons:
(i) Initial (i.e. pre-Meiji) conditions were characterized by an exceptionally efficient use, by the
international standards of the time, of very scarce natural resources especially in forestry, including silviculture (Totman 1989; Saito 2009, 2014). Available evidence suggests that dramatic changes in institutional arrangements introduced in early Meiji had a negative impact on for the sustainability of natural assets management, in particular in forestry; institutional changes introduced during WWII also had destructive consequences.
(ii) In spite of their scarcity, natural assets played a critical role in the initial of Japanese economic transformation, in the late Tokugawa and early Meiji. Silk, tea, and coal accounted for a large share of Japanese exports during that period, and the steady rise in land productivity of Japanese agriculture allowed feeding a growing population using exclusively domestic resources. The nutritional status of the population improved markedly although import of foodstuffs remained negligible until the 1920s.
(iii) Although initial conditions were characterized by extremely resource efficiency practices, the
adoption and adaptation of imported technologies resulted in a gradual transition toward of more resource intensive economic development trajectory. The evidence presented by Ayres (2008) and Warr et al. (2010) suggests that, as far as energy is concerned, these changes have been gradual.
(iv) The Japanese economy relied initially on domestic resources, but the total national stock of natural assets (i.e. owned by residents; and therefore distinct from the stock of domestic natural assets) increased rapidly in the late 19th and early 20th century. This applies not only to the use of natural assets in southern Sakhalin (Karafuto), Taiwan and Korea, but also to the ownership of or access to assets in foreign countries (and in high seas in the case of fish stocks). The estimation of the stock of Japanese natural assets should not be restricted to domestic natural capital but should also include natural assets owned or accessed by residents.
1.C - Project 2. Comprehensive wealth and living standards in Japan since the 1870s
(Jean-Pascal Bassino, Kyoji Fukao, Tokihiko Settsu, and Masanori Takashima)
Recent empirical work in environmental economic history using national accounting techniques has opened a promising path for the empirical analysis of the relationship between indicators of
environmental sustainability and living standards in the long run. However, the results obtained so far are inconclusive. Greasley et al. (2014) have assembled data for British capital back to 1765 for constructing net investment measures which are used as indicators of GS, along with two measures of future well-being: consumption per capita and real wages. They argue that the “results do not reject the postulated relationship between GS and future well-being, and show GS can be a forward looking indicator of future well-being for periods of up to 100 years”. However, in their study on Sweden covering the period 1850-2000, Lindmark and Acar (2013), find that GS may have been negative up until c. 1910.
However, the results presented in these two papers may be sensitive to the definition of the value of natural capital. As mentioned in section 1.A, the recent literature linking environmental and welfare economics (both theoretical and empirical) suggests that CW should be regarded as a better indicator of sustainable well-being than GS. An additional consideration is that both Greasley et al. (2014) and Lindmark and Acar (2013) use exclusively country level time series. Such a dataset does not seem suitable if the aim is to uncover a causal relationship. Since the time series constructed for Britain and Sweden do not exhibit much short term volatility, an alternative approach could be to estimate CW and GS for benchmark years at a regional level. An additional consideration is that the results for Britain and Sweden may have been affected by problems of coverage in the estimation of natural assets for the earlier period (as mentioned in section 1.A and 1.B in the discussion on the importance of fish stocks and biodiversity, in particular).
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