研究課題 | 移行経済の世代間問題再考:市場経済化20年史の回顧と将来展望 |
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研究代表者 | 池本修一(日本大学) |
研究分担者 | 岩﨑一郎(経済研究所), 片山博文(桜美林大学), 杉浦史和(帝京大学), 佐藤嘉寿子(桜美林大学) |
本研究は, 旧ソ連・東欧諸国の体制移行の現状を, 労働, 企業統治, 環境, 年金など世代間問題に関連する分野から検討した。 各人は露, チェコ, ハンガリー, 墺で現地調査を実施したほかハンガリー人研究者を交えたワークショップや経済研究所の蔵書・資料を活用した。 「移行経済ワークショップ」では, チェコの年金制度改革, 世界金融危機後のロシア企業の生き残りと企業統治, ロシアの気候変動戦略と太陽光発電産業, ハンガリーの年金制度改革, および20年間の体制移行戦略の再検討が議論された。 各国は資本主義経済体制へ移行しているものの, 経済の安定化や成長の持続可能性を確保するにはなお多くの課題を有しており, とくに政治状況の激変が経済政策の一貫性を損なう局面がある等の議論がなされた。 |
研究課題 | フィリピン長期経済統計の作成と分析 |
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研究代表者 | 永野善子(神奈川大学) |
研究分担者 | 野澤勝美(亜細亜大学), 森澤恵子(大阪市立大学大学院), 関良基(拓殖大学), 千葉芳広(北海道医療大学大学教育開発センター) |
本研究組織は, フィリピン統計整理作業班とフィリピン編執筆班の2グループからなる。 統計整理作業班では, とくに戦前・戦後の貿易統計の整理及び人口統計の整理を行った。 他方, フィリピン編執筆班では, これまでの研究活動の継続のうえに, 各自の分担執筆を踏まえて, それぞれの論文の執筆にあたった。 この二つの班の作業は, 来年度から本格化するフィリピン編の執筆作業の基礎をなすものである。 2012年3月に実施したワークショップは, そうした成果の確認の場となり, きわめて有益であった。 |
研究課題 | 中央アジア国際労働移民の管理と社会的適応:家計・女性・地域集団 |
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研究代表者 | 堀江典生(富山大学・極東地域研究センター) |
研究分担者 | セルゲイ・リャザンチェフ(ロシア科学アカデミー社会政策研究所), 雲和広(経済研究所), 湯浅剛(防衛研究所) |
本プロジェクトの枠内で, タジキスタンにおける移民送出家計へのヒアリングを数件実施し, 今後のより一層の本課題に関わる研究の深化の方向性を探ることが出来た。 また大規模家計調査であるタジキスタン生活水準調査(Tajikistan Living Standards Survey)を用いて定量的把握を行い, 相対的に貧しい家計から移民が送り出される訳ではなく, 貧困削減と親和的ではない可能性のあることが示された。 |
研究課題 | 欧州およびアジアの国際産業連関表データベースの編成 |
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研究代表者 | 良永康平(関西大学) |
研究分担者 | 長谷部勇一(横浜国立大学), 猪俣哲史(アジア経済研究所), 久保庭眞彰(経済研究所) |
国際産業連関表データベースを世界で初めて体系的に作成し, それらの国際貿易や地球環境への応用を行った。 具体的には, EU22カ国、アジア諸国、BRICsの国際間産業連関表が作成された。 国際貿易については, アジアを対象にカーボンフットプリントが示された。 |
研究課題 | 旧ソ連共和国の産業別GDPに関する歴史的統計的研究 |
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研究代表者 | 田畑伸一郎(北海道大学・スラブ研究センター) |
研究分担者 | ユーリ・イワノフ(CIS統計委員会), アレクセイ・ポノマレンコ(高等経済研究院国際統計研究所), 栖原学(日本大学), 上垣彰(西南学院大学), 中村靖(横浜国立大学), 久保庭眞彰(経済研究所), 志田仁完(経済研究所) |
ソ連/ロシアの非公開産業連関表を用いて産業別GDPを整備した。 この作業過程で, 基礎系列として整備した帝政期から現代にいたるまでのロシアの鉱工業・農業部門の統計との比較を行った。 加えて, 帝政期・ソ連期・現代ロシアを包括する財政制度の分析と財政統計の整備を行い, 貿易の点では, 現代ロシアの交易利得と比較可能な方法でソ連期の特別貿易収入の検討を行い, 国際的にユニークかつ大きな研究成果を得た。 以上の点に関して, 研究参加者の間で共通認識が得られた。 |
研究課題 | 『全国消費実態調査』による日本の所得不平等の研究 |
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研究代表者 | 宮崎毅(明海大学) |
研究分担者 | 北村行伸(研究所附属社会科学統計情報研究センター) |
『全国消費実態調査』の個票データを用いて所得不平等の実態と所得税の所得再分配政策の評価を行った。 分析の結果, 第一に長期的に所得不平等が拡大しており, また所得不平等の拡大は若年・中年層において観察されることがわかった。 第二に, 税制改革の所得再分配機能として、1984年以降課税後所得の不平等が拡大していることが明らかになった。 第三に, 年齢別にみると高齢層の再分配機能が強いことがわかった。 |
研究課題 | Mother's Labor Supply and Home Production |
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研究代表者 | 小原美紀(大阪大学大学院) |
研究分担者 | 神谷祐介(国際協力機構(JICA)), 阿部修人(経済研究所) |
本研究では, インテージ社による全国消費世帯パネル調査の個票データ(日次マーケティングデータ)を用いて, 家計の食料品購入行動が母親の就労状況によってどのように変わるかについて分析した。 分析により, 母親がとくにパートタイマーとして就業すると,調理に時間のかかる財を購入されなくなることが示された。 先行研究では, 母親の就労時間が家事時間に与える影響について一致した見解を得ていなかった。 先行研究で利用される時間に関する記録データではなく日次消費項目データを用いたことで, 本研究では子どものいる家計の女性であっても市場労働と家事労働時間に負の関係があることを示されたと考えられる。 |
研究課題 | Labor Productivity, Unit Labor Cost and Economic Growth in the Republican China, 1911-1949 |
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研究代表者 | 袁堂軍(復旦大学経済学院) |
研究分担者 | ハリー・ウー(経済研究所) |
平成23年度,共同研究拠点で「中国の生産性、要素コストと経済成長 1911-1949」というテーマについて, 研究した。 代表者袁堂軍准教授(復旦大学)と分担者Harry教授(一橋大学)は, 復旦大学および一橋大学の統計資料, 特に戦前の物価,賃金,生産に関するデータを収集し, 戦前と戦後における1935年, 1952年2時点のPPP計算し, 日本と中国の比較分析を行った。 また, 戦前から戦後長期にわたって制度の変遷について研究した。 研究の暫定結果を, 2012年3月27日, ON THE PERFORMANCE OF THE CHINESE WARTIME ECONOMY––Factor Costs, Resource Allocation, Output and Productivity, 研究会で報告した。 |
研究課題 | 高頻度データを用いた資産価格のボラティリティの推定とリスク管理への応用 |
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研究代表者 | 前川功一(広島経済大学) |
研究分担者 | 渡部敏明(経済研究所), 高石哲弥(広島経済大学), 生方雅人(釧路公立大学), 竹内明香(早稲田大学大学院), 得津康義(広島経済大学), 逯新紅(中国国際経済交流中心) |
主な研究成果は以下の通り。 (1) 高頻度データから計算される日次ボラティリティの推定量 Realized Volatility (RV) がオプション価格の導出に有用であることを示した。 (2) 日次リターンと RV を同時にモデル化する Realized GARCH モデルが Value-at-Risk やオプション価格の導出に有用であることを示した。 (3) オプション価格から計算されるボラティリティの推定量である Model-free Implied Volatility と RV の差として定義されるボラティリティリスクプレミアムが将来の資産価格や景気変動の予測に有用であることを示した。 |
研究課題 | 持続可能な福祉国家システムの歴史的・理論的研究 |
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研究代表者 | 小峯敦(龍谷大学) |
研究分担者 | 奥島真一郎(筑波大学), 赤木誠(一橋大学), 吉原直毅(経済研究所), 西沢保(経済研究所) |
2011.12.4(土)に経済研究所3Fにて, 小峯・赤木・吉原による研究報告を行った。 各々がベヴァリッジ・チャリティ団体・福祉国家の理論について発表した。 続いて2012.2.4に立命館大学国際平和ミュージアム3Fにて, 原伸子・後藤玲子・高見典和が家族政策・リベラリズム・ピグー厚生経済学という論点で発表し,討議を行った。 拠点事業として研究所員だけでなく, 所外の人々を多く集め,福祉国家に対する多様な歴史的経緯・理論的可能性を深めることができた。 |
研究課題 | 家族属性と人的資本を考慮した転職に関する賃金の得失額の計量分析 |
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研究代表者 | 伊藤伸介(明海大学) |
研究分担者 | 出島敦久(上智大学), 小林良行(研究所附属社会科学統計情報研究センター) |
本研究では, 『就業構造基本調査』と『賃金構造基本統計調査』の個別データを用いて, ミンサー型賃金関数から推定した賃金の予測値を考慮した場合の転職行動を実証的に明らかにした。 本研究によって, 賃金関数の予測値が転職行動に及ぼす影響をより精密に捉えることが可能になった。 なお, 本研究の成果の一部については, 研究集会「ミクロデータから見た家計の経済行動」(平成24年3月開催)で公表しただけでなく, 一橋大学経済研究所ディスカッション・ペーパー等で発表する予定である。 |