本研究は、一橋大学を研究拠点とする「アジア長期経済統計データベースプロジェクト」の一環として作成されたものである。本稿をまとめた過程にベトナム政府計画投資省統計総局のグェン・クァン氏とグェン・ヴァン・チン氏、首相府のグェン・ゴック・ドゥック氏(前統計総局高級専門官)に多大な協力を得た。また、統計表の作成・整理においてベトナム太平洋経済センター(VAPEC)のホアン・ラン・ホアさんとハノイ外国語大学の研究生である浅野一美さんに協力してもらった。記して謝意を表したい。
要 約
A.解 説
B.計数表
本研究の目的は、ベトナムの長期経済統計整備の一環として、1988年以前のMPS方式の諸指標をSNA方式のものに直し、89年以降のSNAベースのデータに接続できるようにしてSNA方式の長期マクロ経済統計を推計することにある。本研究の第1段階としての本稿は、南北が再統一した1976年にさかのぼって20年間のデータを整備した。また、SNAベースの諸指標だけでなく、人口、労働力、主要商品の生産・輸出・輸入などの関連データも合わせて収集・整理した。
このように本稿では、1976年以降のベトナムの長期経済統計の主要指標が整備できたのである。ベトナムに関するSNAベースのこのような長期統計が整備できたのがベトナム内外において初めてである。資料の制約があるため、いくつかの重要な前提条件が付いた推計ではあるが、現段階において利用可能な資料が最大限利用されたと思われる。
20近くに上る長期系列の各表から主要な発展指標をピックアップしてその変化トレンドを見ると、本推計の結果はこれまでのMPSベースのデータや各種の断片的な情報が示したベトナム経済のパーフォマンスとほぼ一致している。