ミャンマー・フィールド調査から(3-4)

シャン州野菜作農村

黒崎 卓

Last revision: Aug. 29, 2001


 シャン州インレー湖の浮畑農村のページに紹介したタウンジーの定期市などへの野菜の出荷地として知られるもう一つの地域が、高原地域のシャン州カロー郡である。写真は我々が調査した村の光景(2001.7)。手前の濃い青緑がカリフラワーの畑。その向こうには雨季の雨がたまると水田になる小さな谷地田、そしてそのさらに向こうには野菜も植えられる焼畑が若干存在する。

 これらの農作物のうち、何と言ってももうかるのが村の中で作られる高原野菜。キャベツとカリフラワーが最大の産物で、ミャンマー全土に出荷される。この写真にあるように、村の建物は我々の調査村の中でも有数の立派さで、野菜作りがかなり高収益であることをうかがわせる。

 野菜は農民自らが近郊の定期市に持っていって売ることもあるが、仲買人を通じて出荷することも多い。写真は二頭立ての牛車いっぱいのカリフラワーを村の中の仲買人に運ぶ農民。

 牛車が仲買人のところに着いた様子。カリフラワーは仲買人が全量買い上げて、小型トラックに移される。小型トラックいっぱいの量を確実に確保し、定期的に大都市に送るのが仲買人にとってはとても重要なのだ。この村ではニンニクの栽培も盛んで、後ろの倉庫の中には大量のニンニクがストックされていた。

 野菜作りはもうかることもあるが、実は失敗するリスクも大きい。病気にやられて収穫ゼロとか、市況が暴落して出荷できずに畑で腐らせたキャベツ、みたいな話に事欠かない。他方、生産性は高くないが、谷地田での水田稲作もそれなりに重要である。写真は調査村の南側に広がる谷地田を写したもの。日本の棚田のような美しい風景が広がっている。

 田植えの風景が見られないかと探していると、夕暮れ近い谷地田で今日の仕事を完了させようとがんばる娘さんに出会った。写真で分かるように、一つ一つの田んぼはとても小さく、村全体でも水田の面積は小さいので、米は自給できずに他から購入もしている。

 こちらの田植えでは苗の大きさは標準的。下ミャンマーの深水田での田植えと比べると、その違いが歴然とする。

 谷地田の周りは急な斜面の焼畑跡地が放牧地となっている。この写真に写っているのは子供の水牛。意外に毛深くて、水牛も牛の仲間なのだと実感させられる。

 調査村の小学校は中学校も兼ねた立派なもので、その登校路が我々がインタビューした村書記の家の下を通っていた。楽器を鳴らしながら楽しく登校する子供たち。

 そしてその村書記の家では、こんな感じで調査をした。快く我々の長いインタビューに対応してくれた村の皆様に大感謝。


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