ミャンマー・フィールド調査から(3-2)
下ミャンマーの稲作農村
黒崎 卓
Last revision: Aug. 29, 2001
下ミャンマーはイラワジ河の広大なデルタ地帯。雨季にも乾季にも米が作られることが多い。米作りのスタートは田起こし。写真はミャウンミャー郡の村で二頭立ての去勢雄牛を用いて、箱型のミャンマー犂で耕す光景(2001.6)。田起こしの後は念入りに代掻きをする。田起こし、代掻きともに、牛ではなくて水牛を使う農家もいる。
そしていざ田植え。この写真はおなじミャウンミャー郡の村で撮った雨季稲の田植え風景(2001.7)。この地域は雨季の水が深いので、信じられないほど大きな苗を、特製の長い棒で深い泥の中に植え付ける。下の写真は苗を調達する農民のアップ。

収穫されたもみは乾燥されて、政府に供出されたり、精米所に売られる。これはトングワ郡で撮った2001年1月の写真で、後ろの黒い建物が政府供出の貯蔵施設。
もみを風選するための竹かご(トングワ郡、2001.1)。
農家は自家消費用の米についてはもみで貯蔵し、必要な量を適宜村の精米所で精米して食べる。精米所は村の農家にとってもみを販売する場所でもある。この写真は、ミャウンミャー郡の川沿いにあるごく小規模の精米所(2001.6)。イラワジ・デルタの小河川が入り組んだ下ミャンマーでは、小船が最も役にたつ輸送手段なのである。
村に住んでいるのは農家だけではない。土地をもたず、農家に雇われる農業労働者世帯も多い。彼らは日々の糧としての米を、精米所や村の雑貨商から精米で購入する。この写真は、上の写真のそばで撮った雑貨商の商品。大きな竹篭が「バスケット」と呼ばれる一つの単位であるが、全国で統一されてはいない。全国でおなじ基準となっているのは、バスケットの精米の中にある2つの量りのうちの右側のブリキ缶である。コンデンスミルクを使った後のブリキ缶が、この国で唯一の全国共通コメ計量単位なのだ。度量衡の統一はミャンマー農政の重要な課題となっている。
農家、農業労働者世帯を問わず、漁業はミャウンミャー郡のこの地域で重要な副業。この写真のように、川で網を使って魚をとったり、特別のかごを使って水路でウナギをとったりする。魚は重要な蛋白源であると同時に、けっこうの稼ぎになる。
このミャウンミャー郡の村で、かなり綿密な調査をした。これは村の宗教的な集会場を用いてのインタビュー風景。
そして調査が終わって村長さんその他と記念撮影。皆さん本当にご協力ありがとうございました。
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