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現在進行中のプロジェクト

「ロシアにおける人口動態の研究:ミクロ計量分析による総合的把握」

(文部科学省科学研究費補助金基盤研究(A):2014~2017年度; 文部科学省科学研究費補助金基盤研究(B):2019~2023年度)

 本研究はロシアにおける人口動態の先駆的分析と,その成果の国際的発信とを意図するものです.具体的には,ロシア家計調査データRussia Longitudinal Monitoring Survey (RLMS)及び国際社会科学プログラムInternational Social Science Program (ISSP)の個票を用い,(1)家庭内分業・家計消費等ミクロ水準の要因と出生率,(2)個人・生活習慣等のミクロ的特質と死亡率,(3)個人・家計特性と地域/国際移動,の関係を,人口経済学・労働経済学・社会学的視点を中心に分析します.ロシアの人口動態分析において不足しており,かつ個別に検討されがちである「ジェンダーと出生率」「死亡率の歴史的経緯」「ミクロ特性と人口移動」という視点を統合した分析を展開することと共に,ロシアにおける個人・家計行動のミクロ計量分析の基盤たる事を目的としています.

「国際制裁下ロシアの国家、地域及び企業社会:日米露共同研究プロジェクト」

(科学研究費補助金国際共同研究強化(B):2019年度~2023年度;代表者・岩﨑一郎,分担者・安達裕子/堀江典生/志田仁完)

 本プロジェクトは,国際制裁に直面するロシアの国家,地域及び企業社会の実情及び国内企業の組織的・経営戦略的行動の解明に向けた日米露共同研究の実施を企図しています.国家、地域、企業社会の実態を多角的・実証的に検証し,そこから得られる研究成果の総合を通じて,特殊状況下にあるロシア経済社会の新たな概念モデルの構築を試みることを,その究極的目標に掲げています.2020年に発生したコロナ・ウイルス感染問題は,ロシアの人々に多大なる悪影響を及ぼしています.本プロジェクトは,その社会的・経済的インパクトについても,調査・研究を行う予定です.本プロジェクトの海外パートナー機関は,米国コロンビア大学及びロシア国立研究大学高等経済院です.

「中国と東欧の比較企業システム論」

(科学研究費補助金基盤研究(B):2020年度~2024年度;代表者・岩﨑一郎)

 本プロジェクトは,中国と東欧の企業システムを,ミクロ実証経済学的に比較・分析することを通じて,これらの国々の企業制度や経営活動の実態把握を企図しています.共産党一党独裁制を維持しつつ社会主義市場経済の確立を標榜してきた中国と,民主主義をまがりなりにも政治制度の基礎に置きつつ資本主義市場経済の導入を推し進めてきた東欧諸国との間のいわゆる「移行戦略」の顕著な差が,両者の企業システムにもたらした相違性の詳細な解明を行うことで,かつてない中国・東欧比較経済論の創出を目指します.2020年に惹起したいわゆる「コロナ・ショック」の中国・東欧企業への影響の実証的研究も,本プロジェクトの射程に入っています.

「社会主義における経済活動の自由の政治的意味」

(科学研究費補助金基盤研究(C):2022~2024年度;代表者・河本和子)

 スターリン後のソヴェト政権は人民の生活水準の向上を目指し,この結果,実際に消費の高度化が進み,消費における選択の自由が拡大することとなりました.こうした生活の豊かさと自由を求める政策は社会主義理念から正当化される一方で,理念的にも計画経済の現実からも一定の制約を受けました.本研究では,まず,誰にどのような形で消費の自由が分配されたかを明らかにするために,購買力を向上させるべく導入された割賦販売制度を分析します.さらに,社会主義下で違法・不適切とされた経済活動の分析を通じて,何を根拠にどのように自由が制限されていたのかも明らかにします.これらの知見を通じてソ連における社会主義体制の特質に迫ることを試みます.