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論文要旨

Vol. 73, No. 4, pp. 306-318 (2022)

『医師の病院離脱傾向は高まっているのか --医師届出票のパネルデータを用いた分析--』
本田 衞子 (年金シニアプラン総合研究機構)

本稿では医師届出票から作成したパネルデータを用いて,医師による病院離脱の傾向が高まっているのかを検証する.医籍登録時から一定期間継続して病院に従事する医師の比率を病院従事継続率と定義し,男女別かつ医籍登録年コーホート別に病院従事継続率を算出したところ,性別を問わず後年のコーホートほど病院従事継続率が高くなる傾向があることが明らかになった.また,同一のコーホートの医師では,男性の病院従事継続率が女性よりも有意に高く,男性よりも女性が早い段階で病院から離脱していることがわかった.但し,男女計の医師全体でみても病院従事継続率は上昇傾向にあり,女性医師の増加によって医師の病院離脱が早まるという現象は生じていない.