公開されている公式統計に基づき,日本の都道府県別物価指数を試算した.主要結果は下記の通りである.(1)帰属家賃を含む都道府県間物価指数は,全ての指数において大きな違いを示しており,物価の高い県と低い県の間には20%ポイント以上の差がある.(2)帰属家賃を除く場合,総務省による価格差指数同様,都道府県間の物価の違いは小さく,その差は10%ポイント以下程度となる.(3)食料品に関しては,物価指数算式間の差は少ない.(4)非食料品の指数算式間の差は大きく,特にJevons指数およびCUPI(CES Unified Price Index)と他の差が大きい.また,比較的同様の挙動を示すGeary-Khamis やFisher 指数,Gini やAbe-Rao 指数等の間でも1%から3%ポイント程度という無視できない違いが生じている.これらは,都道府県間の物価の違いを見る際,帰属家賃の影響が極めて大きいこと,また,それほどではないにしろ,指数算式間の違いも存在しており,分析・利用目的に応じた指数算式の選択が重要であることを示している.