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論文要旨

Vol. 73, No. 1, pp. 29-48 (2022)

『最低賃金と生産性 --日本企業のパネルデータによる分析--』
森川 正之 (一橋大学経済研究所)

最低賃金は,低賃金労働者の所得保障,経済格差の縮小など所得分配の公平を主な目的として存在する制度だが,最近,経済全体の生産性との関係が盛んに議論されている.本稿は,関連する内外の研究をサーベイするとともに,日本企業のパネルデータ(2001~2018年)を使用し,最低賃金引上げが生産性に及ぼす効果についてのエビデンスを提示する.固定効果推計及び操作変数推計の結果によれば,日本においてこれまでの最低賃金引き上げが企業の生産性を高めたという証拠は確認されない.