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論文要旨

Vol. 71, No. 1, pp. 49-62 (2020)

『情報の非対称性バブル --その理論と実験--』
浅古 泰史 (早稲田大学政治経済学術院)

本稿ではゲーム理論と実験的手法を用いたバブルに関する研究を概観し,今後の課題を検討する.本稿の前半では,情報の非対称性の重要性を示している理論研究を,その代表例であるライディング・バブル・モデルを中心に概観する.後半では,実験的手法を用いた研究を概観し検討する.多くの過去の実験研究は,理論的に説明ができない「不均衡バブル」が生じることを示してきた.しかし,近年の実験では情報の非対称性の存在を考慮した理論と整合的な「均衡バブル」も生じることが示されている.今後の課題として,均衡バブルと不均衡バブルの比較を行い,特に均衡バブルの特徴を理解していくことが重要であると指摘される.