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論文要旨

Vol. 69, No. 1, pp. 35-54 (2018)

『製品開発における上流工程管理と人材マネジメント --開発成果に対する効果の検証--』
都留 康 (一橋大学経済研究所), 徳丸 宜穂 (名古屋工業大学大学院工学研究科), 福澤 光啓 (成蹊大学経済学部), 中島 賢太郎 (一橋大学イノベーション研究センター)

本稿では,日本・中国・韓国における製品開発の上流工程を有する企業(製造業とソフトウェア業)に対して行った質問紙調査の結果データ(382社)に基づき実証分析を行った.具体的には,製品開発の上流工程における諸活動(市場と技術に関する情報収集,上流工程への各機能部門の関与度合い,参加者間および下流工程とのコミュニケーションの状況など)と人材マネジメント(インセンティブ付与のあり方)とがいかなる関係にあるときに開発成果が高まるかを定量的に分析した.分析の結果,以下の3点が明らかになった.(1)外部情報の獲得ルートが多く,なおかつ非金銭的インセンティブが付与されるとき開発成果(QCD,顧客満足度,販売実績)が高まる.(2)コミュニケーションの円滑さで測られた開発工程間の組織内統合度が高く,なおかつ非金銭的インセンティブが付与されるとき開発成果(QCD,顧客満足度)が高まる.(3)マーケティング担当者と開発担当者とのコミュニケーションの円滑度が高く,なおかつ非金銭的インセンティブが付与されるとき開発成果(QCD,顧客満足度)が高まる.