差別化された財を生産する対称的な寡占において各企業が絶対利潤(自らの利潤そのもの)ではなく相対利潤(自分の利潤と他の企業の利潤の平均値との差)を最大化する場合の戦略変数の選択を分析する. 第1ステージにおいて各企業が産出量を設定するか財の価格を設定するかを決め,第2ステージにおいては選んだ戦略変数に応じて産出量または価格の水準を決めるような2段階ゲームを考え,第1ステージにおける戦略変数の選択が均衡産出量・価格に影響しないこと,すなわち産出量を設定する企業,価格を設定する企業の数に関わらず均衡産出量・価格はすべての企業について同一であることを示す. したがって第1ステージにおける戦略変数のいかなる選択の組み合わせもこの2段階ゲームの部分ゲーム完全均衡(sub-game perfect equilibrium)を構成する.