住宅価格指数の推計においては,不動産が持つ同質の財が存在しないという特性から,品質調整を施す必要がある. その品質調整の方法としては,多くの物価統計で利用されているヘドニック法と合わせて,推計に利用できる情報の限定から,リピートセールス価格法が実用化されている. しかし,その実用化においては,その背後にある理論的な知識の欠如や情報の制約から,その評価が困難な状況にあると言っても過言ではない. そこで,本稿においては,住宅価格指数の品質調整方法として提案されているヘドニック価格法,またはリピートセールス価格指数の理論的な背景を整備すると共に,それぞれの推計手法の優位点(advantage)と問題点(disadvantage)を明確にすることを目的とする. また,日本のデータを用いて,実際の差異を明らかにする.