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論文要旨

Vol. 65, No. 4, pp. 362-380 (2014)

『製品開発プロセスにおける問題発生と解決行動 —エンジニア個人レベルでの日中韓比較—』
都留 康 (一橋大学経済研究所), 徳丸 宜穂 (名古屋工業大学大学院工学研究科), 中島 賢太郎 (東北大学大学院経済学研究科), 福澤 光啓 (成蹊大学経済学部)

製品開発に関する既存研究では,開発プロセスで実際に発生した問題と開発組織のリーダーとメンバーによる解決行動との関係,および問題解決行動と開発成果との関係などについて,産業横断的かつ国際的な定量分析が行われていない.本稿では,日本・中国・韓国のエンジニア個人を対象にしたアンケート調査データに基づき定量分析を行い,以下の3点を析出した.第1に,担当業務内で発生した問題を現場レベルで解決しようとするのは日本であり,上位組織で解決しようとするのは中国である.韓国は日本に近い.第2に,担当業務外の問題解決のための協力という意味でのエンジニア個人の能動性は日本で最も高く,韓国で最も低い.中国はその中間である.第3に,担当内問題解決の組織レベルは,いずれの国のどの開発成果に対しても有意な影響をもたないのに対し,担当外問題解決での能動性は,いずれの国の開発組織レベルでの開発成果に対しても正で有意な影響をもつ.