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論文要旨

Vol. 64, No. 3, pp. 204-217 (2013)

『店長は重要か? —大手自動車販売会社の人事・製品取引データによる計量的事例研究—』
上原 克仁 (青山学院大学国際政治経済学部), 大湾 秀雄 (東京大学社会科学研究所), 高橋 新吾 (国際大学国際関係学研究科), 都留 康 (一橋大学経済研究所)

この論文では,日本を代表する大手自動車販売会社の人事および製品取引データを用いて,店長の生産性効果や配置の問題を分析した.その結果,次の点が明らかになった.
(1)店長は重要である.店舗業績に対して大きな効果をもつ.平均的店長と比べて「悪い」店長を「良い」店長に置き換えると,新車販売による店舗獲得利益は約14%向上する.
(2)店長配置の基本パターンは「小規模店舗から大規模店舗へ」である.また,業績が悪化している店舗には,店舗経験の長い店長が配置される.
(3)若い店長や店長昇進前に新車販売以外の経験も有するキャリアの幅の広い店長が,店舗成績を伸ばしていた.
(4)店長の学習効果はあまり重要ではなく,店長を教育して生産性を上げるよりも,「良い店長」を正しく選抜することがより重要である.