本論文では,日本の株式市場におけるマーケット・ポートフォリオ(株価指数)の予測可能性に関して,2000年代までのデータを用いて包括的な再検証を行う.その結果,2000年代の価値加重平均指数のデータに関してランダム・ウォーク仮説が強く棄却されることが示され.またその理由として,この時期の大型株ポートフォリオに関して統計的に有意な正の系列相関が発生していることが,重要な要因となっていることが示される.また論文の後半では,日本市場における株式リターンの予測可能性に関するより包括的な検討を行うが,2000年代のデータにおける予測変数としての過去のリターンの重要性は,短期金利変数を加えたとしても変わらない.また日本銀行によるゼロ金利政策開始以降,短期金利自体がほとんど動かなくなってしまったため,金利変数そのものよりは長短金利差の方が予測変数として重要性を増していることが示される.