地球温暖化問題に関する先進国と途上国との対立の一つに、カーボンリーケージ問題がある。この問題を扱うためには、貿易財のCO2集約度の計測を正確に行う必要があり、従来、国際産業連関表をベースにした研究がなされてきた。これらの多くは、外生国からの輸入に伴うCO2排出は、外生国の投入係数やCO2データが存在しないため、これを捨象した相互依存関係の分析しか行ってこなかった。しかしながら、この方法はCO2排出を過小評価することになるので、本研究では、外生国のCO2集約度を内生国の加重平均と仮定する方法を発展させ、2005年時点の中国、韓国、日本、アメリカを内生国とする国際産業連関表を独自に推計した上で、1995年から2005年にかけてのカーボンリーケージの動向について検討を加えた。その結果、アメリカと日本は一貫して赤字国であり、CO2排出を他国に「押し付けて」いる関係であること、近年その傾向は縮小しているが中国に対してはCO2排出赤字が拡大していることが明らかになった。