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論文要旨

Vol. 62, No. 1, pp. 57-65 (2011)

『ローン市場におけるサーチ・マッチングと実物的景気循環の関係--日本の事例--』
Hyung Seok (Eric) Keam (Department of Economics, Sogang University), 寺西 勇生 (Financial Systems and Bank Examination Department, Bank of Japan)

本稿では、実物的景気循環モデル(Real Business Cycle Model)を拡張し、複数期間のローン契約、企業と民間銀行の間に起こるサーチ・マッチングによって特徴づけられる不完全な金融市場をモデルに取り入れる。これらの特徴を有する不完全な金融市場は、プロ・シクリカルな動きを弱める効果(カウンター・シクリカルな動きを作り出す効果)を通じて、実物経済に対する金融市場の緩慢な動きを作り出す。シミュレーションを通じて、モデルが、消費、投資、賃金、労働供給といった実質変数についてのみならず、ローン貸出し量、金利といった金融変数についての景気循環も説明し得ることを示す。