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論文要旨

Vol. 53, No. 2, pp. 173-187 (2002)

『景気動向のモデル分析―そのフロンティア―』
加納 悟 (一橋大学経済研究所)

本論文ではDynamic Factor Model (DFM) を中心に景気動向のモデル分析のフロンティアを紹介するとともに、その発展方向について考察する。まず2節ではDMFの基本型とその推定法について述べる。3節では景気変動が景気の拡大期と縮小期で異なることを想定し、レジーム間のスイッチ(景気の転換)を組み入れたモデルとその推定法について紹介する。さらに本論文の基本的な考え方としてレジームが観察可能であるときのモデル化について考える。4節では景況感をモデルに組み込み景気指標の作成に利用することを考えるとともに、その適用例を紹介する。5節においては4節のモデルをわが国のデータに適用し、2000年の景気の山を推定する。6節ではレジームスイッチの定式化を吟味する。特にスイッチの推移が1階のマルコフ課程に従うか、推移確率は他の外生変数に依存してないのか、そして推移確率を記述するパラメータが時間に関して上変かを統計的に調べる。7節は以上をまとめた結語に当てられる。