本稿は産業レベルの変数(専有可能性と技術機会)および企業レベルの変数(売上高とキャッシュフロー)を用いて、わが国企業の研究開発投資に対する決定要因を論じた。専有可能性と技術機会は、これまで数量化の難しかった変数であり、本稿では質問票調査から得たデータを基礎に作成している。推計の結果、専有可能性と技術機会は、いずれも研究開発投資の決定要因として重要な要因であることが示された。これに対して、キャッシュフローは、先行研究とは異なり、大規模企業中小規模企業のいずれかにおいてもバインディングであることが示された。