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論文要旨

Vol. 50, No. 3, pp. 228-237 (1999)

『日本経済の潜在成長率』
吉川 洋 (東京大学大学院経済学研究科/経済学部)

潜在成長率を考えるときスタンダードなアプローチは「成長会計」であるが、この論文では「需要」の役割を強調する。わが国では労働力人口の減少に大きな関心がよせられているが過去の経験に照らすとこれは日本経済の成長率を決定的にに左右する要因ではない。重要なのは資本と技術進歩である。スタンダードなアプローチでは資本蓄積は家計の貯蓄率によって決まると考えるが、投資を決めるのは財に対する需要であり、需要の成長を決めるのは新たな財/セクターを生み出すイノベーションである。イノベーションは全要素生産性(TFP)とは独立に需要を創出することにより成長率を高める。