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論文要旨

Vol. 50, No. 3, pp. 218-227 (1999)

『日本のイノベーション・システムとその改革』
後藤 晃 (一橋大学イノベーション研究センター)

日本経済の潜在成長率は人口の高齢化などのために低下する可能性が高い。その意味で技術進歩の果たす役割はきわめて大きい。研究費の大きな伸びも期待しにくいので、効率的なイノベーション・システムを作っていく必要がある。一国のイノベーション・システムは産業、大学、政府の3者からなりその間の相互作用の中で形づくられていく。日本の産業は1980年代前半には強い競争力を示したが、情報技術、バイオテクノロジーといった新しい産業技術においては遅れをとっている。これらの分野の技術に適合的な産業組織へと進化していくことが求められる。大学はその点でみても日本のイノベーション・システムの改革を図る上できわめて重要な役割を果たす。政府の政策も、これらの新しい産業技術へあたらしい対応が必要となっている。