本稿は,中東欧・旧ソ連諸国における経済移行の外国直接投資(FDI)誘引効果及びFDIのマクロ経済効果という2つの研究領域について,先行研究が披露する実証結果を,メタ分析の手法を以って統合・鳥瞰すると共に,研究間の相違性を決定付ける要因や公表バイアスの可能性を,メタ回帰分析によって検証した.これら2つの研究領域は,既存研究全体として,統計的に有意な非ゼロの効果を等しく報告しているが,公表バイアスの問題を越えても正真正銘の効果が見出されるのは,経済移行のFDI誘引効果研究に限られることが確認された.一方のFDIマクロ経済効果研究については,真の効果を突き止めるために,更なる実証成果の蓄積が求められる.