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論文要旨

Vol. 58, No. 4, pp. 323-334 (2007)

『マルコフ・スイッチングGARCHモデルによるボラティリティの予測―Realized Volatilityを用いたモデル比較―』
里吉 清隆 (東洋大学経営学部)

本稿では,GARCHモデルを拡張したマルコフ・スイッチングGARCH(MSGARCH)モデルを用いたボラティリティの予測を提案し,従来のGARCHモデルとの予測力の比較を行った.MSGARCHモデルはこれまでに代表的なものとして3種類のモデルが考案されているが,それぞれのモデルの定式化の違いを述べ,パラメータの推定法とボラティリティの予測法を解説した.モデル比較の際には,真のボラティリティの代理変数として,日中の収益率から計算されるRealized Volatilityを使用している.TOPIXを用いた実証分析の結果,GARCHモデルの代わりにMSGARCHモデルを用いても,全体的にはボラティリティの予測力は高まらないことが明らかになった.しかしながら,ボラティリティが極端に低い時期においてはGARCHモデルではボラティリティの変動を捉えることができず,MSGARCHモデルの方が優れていることが示された.