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論文要旨

Vol. 53, No. 1, pp. 1-17 (2002)

『日本の対外経済政策―国際金融を中心として―』
伊藤 隆敏 (一橋大学経済研究所)

まず、対外経済政策を、地理的(グローバル、リージョナル、二国間)・分野別(貿易、マクロ・金融、経済協力)に分類、また国内経済政策とどのように違うかについて、概念整理をしたうえで、いくつかのトピックについて政治経済的な分析をおこなう。第一に、国際機関における日本の影響力について、出資比率、職員比率をとって考察、経済力に見合った影響力を確保できていない、と結論する。第二に、二国間関係で一番重要な日米経済摩擦に歴史を、分析、1990年代に、アメリカからの要求が、日本にとって「良い外圧」から「悪い外圧」に変化したため、摩擦が激化した、と考える。第三に、円の国際化の意義と進展状況について分析する。円の国際通貨としての役割を円建て輸出入比率や為替市場での取引比率、通貨当局の外貨準備に占める比率などで、計測する。目立って円の国際化は進展していないことがわかる