投入生産要素の利用率をいかに捉え、その変動が原因で生じるTFP成長率測定上の誤差をいかに計測するかは、近年の生産性研究における重要なテーマになっている。本稿では、こうした研究のより新しい成果の一つである稼動率内生型モデルを用い、1960-95年の日本製造業10産業について内生的稼働率を求め、その循環的な変動がTFP成長率に与える影響の有無を検証する。その結果によると、バブル崩壊に伴う資本稼働率の低下は従来の成長会計分析で計測されたTFP成長率にかなりの下方バイアスを与えていることが明らかにされる。それゆえ、日本製造業の技術進歩を正確に測るためには、こうした要因を分析の視野にいれることが非常に重要であり稼働率内生型モデルは一つの有用な分析ルーツであるという結論が導かれる。