准教授 ● 専門分野: 統計学、人口学、工学(情報処理等) ● 科学研究費補助金研究者番号:00390584
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出生率変動に興味があり、同居児法と呼ばれる手法を使って出生率の変動要因を研究してきた。同居児法は人口学的な手法であるため経済の変動が反映されないという問題がある。経済は「経世済民」が語源(英語とは別意)となっているが、済民の民はまさしく人口を意味する言葉であり、人口学と経済学を融合した人口経済学を希求することによって少子高齢化の問題が解決され得るという結論に辿り着く。約200年前にイギリスの人口学者マルサスは『人口論』(1798)において、人口が等比級数的に増えるのに対して食糧生産は等差級数的にしか増えないため人口増加は食糧生産を上回り、貧困問題が解決されることはないと主張した。近年は状況が一変しており、少子高齢化による人口減少が経済に影響を与える状況にある。少子化の原因を追求していくと、結局のところ子供を産む選択を行うのは個々の世帯であり、家計または家政(Oikonomia)において世帯収入が増加すれば出生率が上がり、逆に世帯収入の減少や支出増加、物価上昇は出生率が下がる方向に影響する関係にあることを見出すことができる。個々の世帯について家計を分析するための最も有効なデータは家計調査や全国消費実態調査などの公的統計データであり、これらのミクロデータを用いた経済分析がこれからの経済学(Economics)の重要な鍵になると考えている。
◎キーワード
公的統計, ミクロデータ, 匿名データ, 少子高齢化, 同居児法