『ストーリーで学ぶ開発経済学――途上国の暮らしから考える』

黒崎卓・栗田匡相

Last revision: April 5, 2016

有斐閣ストゥデイア、220ページ、定価:本体価格 1,800円、ISBN978-4-641-15034-8




 途上国の開発問題に関心を持つ大学1、2年生や一般の方、あるいは高校生などに向けた初学者向けの開発経済学の入門書を書きました。とはいえそのような講座を大学で教えているわけではない私には難題で、栗田さんの共著という話になって、やっと10年越しに動き出したのがこの本の企画でした。

 類書にはない、かなり変わった本になったことを保証します。アスー(ASU、ひっくり返すとUSA)という名前の架空の途上国の物語に読者の皆さんを招待するのがこの本のストーリーです。このストーリーを通じて、貧しさ故の問題が山積する途上国の現状を理解し、それを克服するための方策などに思いをはせていただきたいと考えて執筆しました。コラム以外は黒崎と栗田さんの完全な共同執筆ですので、目次等に執筆分担は入れていません。

 本書のストーリーの登場人物、とてもかわいらしいイラストで描かれています。私は途上国の食べ物ではマンゴーとパクチーに目がないのですが、この2つは夫婦になってしまってます。

目次


プロローグ――ある途上国のお話

第1章 農業――伝統的制度に秘められた知恵
  コラム マダガスカルの希望(栗田)
第2章 農村信用市場――多様化する農村経済とマイクロファイナンス
  コラム バングラデシュ再訪(黒崎)
第3章 教育と健康――人づくりは国づくり
  コラム インドでインフルエンザ(黒崎)
第4章 労働移動――バラ色の新天地?
  コラム 人が移動をする理由(栗田)
第5章 経済成長と工業化――グローバル化した世界
  コラム スポーツナショナリズム(黒崎)
第6章 技術移転――学びの道も一歩から
  コラム 飲みニケーション(海外)から伝わること(栗田)
第7章 開発金融――おらが村とグローバル金融システムのつながり
  コラム インド亜大陸の切手と郵便(黒崎
) 第8章 開発援助――がんばれニッポン
  コラム カンボジアの持続的発展のために(栗田)
第9章 持続可能な開発――環境と開発の対立を超えて
  コラム 多様性の先にある困難(栗田)

エピローグ――途上国の希望

補論1 書を捨てよ、現場にいこう――フィールド調査の実際
補論2 書を捨てよ、現場に行こう――介入の効果を測る

さらなる学びのためのリーディング・ガイド
参考文献


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