『次世代の実証経済学』

大塚啓二郎・黒崎卓・澤田康幸・園部哲史編著

Last revision: September 17, 2023

日本評論社.ISBN 978-4-535-54050-7. vii+318p.定価:3,300円+税




 経済学は、理論的分析に数理分析の手法を積極的に導入し、厚生経済学の基本定理をベンチマークにしながら、様々な一般均衡・部分均衡、あるいは経済主体の行動に関する緻密な理論モデルを構築してきた。さらに重要なのは、そうした理論モデルから導出された予測について、マクロデータ、あるいはミクロデータを用いて定量的・統計的に検証する試みを続けてきた学問 であるという点だ。近年は、ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)や自然実験(natural experiment)・擬似実験(quasi-experiment)など実験的な手法も広まり、厳密な経済学の実証分析がカバーする範囲は飛躍的に拡大した。このことから経済学は、「社会科学の女王」と呼ばれ続けている。...
 本書では、実証経済学における近年の進化を概観するとともに、その進化によってもたらされた研究の発展や課題について考察する。その上で、新しい分析手法を取り入れつつ、実証経済学をさらに稔りある学問にするにはどうしたらよいかについて、幅広く議論する。本書の読者としては、経済学を学ぶ学生・大学院生、研究者、官民のエコノミスト、経済学に触れる機会がある実務者(政策担当者、NGO・NPO 職員やコンサルタント)などを想定している。(本書、序章より)

 少し変わった取組として、各執筆者による本論に続いて、討論者によるコメントと、本論執筆者によるリプライという3本立てで、すべての章を構成してみました。「日本の経済学をリードする豪華執筆陣が、実証経済学の最先端と目指すべき姿を、各章の本論・コメント・リプライを通して熱く語る」というのが出版社の付けたカバーでの宣伝です。ぜひ手に取ってお読みいただけると幸いです。

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