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オピニオン

●「コルカタ便り(1)」2010年2月5日

 今年の3月末までサバティカルが続いています。2月はインドのコルカタ(旧名カルカッタ)を拠点にインド中を見て回る予定です。今回の滞在先はコルカタにあるインド統計研究所(Indian Statistical Institute)というところです。この研究所はマハラノビスというインドの偉大な統計学者が創設し、コルカタのマハラノビス家の広大な自宅の敷地を研究所として寄付したもので、現在は全国にインド統計研究所の支部がある国立の研究機関です。ここにはオックスフォード大学時代の同級生マドゥラ・スワミナサンとその夫のV.K.ラムチャンドランが教授として在籍しているので、その縁もあり今回の訪問となりました。

 インド統計研究所は我々アジアで統計学を専攻する者にとっては聖地のような所であり、マハラノビスはインドの統計学の創始者というだけではなく、近代統計学全体の始祖の一人だと言えます。同時期のイギリス人統計学者ロナルド・A・フィッシャーもたびたびこのコルカタのマハラノビスを訪ねていたようです。

 マハラノビスはコルカタ大学を卒業した後、ケンブリッジ大学で博士号を取得した人で、統計学の多方面での貢献がありますが、同時に農業生産の効率性を上げるために刈入機械を試作したり、戦後のインドでの初の5ヵ年経済計画の立案に携わったり、あるいはインドでの初の家計調査を行ったりと、経済学の分野でも多大な貢献があります。その研究所を今回初めて訪問することになり、これからの滞在を大変楽しみにしています。今回も見聞きしたことを沢山書いてみたいと思います。

                                          

北村行伸@コルカタ


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