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オピニオン

●「オリンピックの審判と政策決定」2002年2月28日

ソルトレーク冬季オリンピックが閉会した。なにかと問題の多かった大会であった。今回のオリンピックの審判問題やゲームのルールなどについて書かれたもののうち鐸木能光氏のコラムが面白かったので紹介したい(「人が人を採点することの難しさ」「スポーツの「勝負」とは何なのか?」)。

「人が人を採点することの難しさ」はモーグルの採点について審判の出身国と採点の関係についての詳しい分析がなされている。統計学者ならもう少しデータを集めて採点バイアスの推計などしたいところであるが、このコラムの結果だけでも十分にバイアスの大きさがわかる。同様のことはハーフパイプ、フィギュアについても言える。「スポーツの「勝負」とは何なのか?」では、ショートトラックの競技としての成熟度に疑問をはさんでいる。私も全く同感である。フィギュア女子シングルの採点方法の不可思議さも大きな問題として取り上げられている。

 これらの問題に私が関心を持ったのは、その結果自体にあるのではなく、広く意思決定をすることのルール作りの難しさを実感したからであり、また、このオリンピックの教訓から政策決定の方法に関する重要な手がかりが得られると思ったからである。その具体的内容については後日論文として発表したい。とりあえず紹介したコラムを一読されたい。