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オピニオン

●「ケニア便り」1999年3月15日

今日はケニアの社会事情について見聞したところを報告します。

まず、ケニアのTV事情について。ナイロビで一般テレビで見れるのは2チャンネルです。一つがKTN、もう一つがKBCです。KTNは英語放送ですが、KBCは英語とスワヒリが入り乱れて放送されています。ニュースの時には、KTNが英語でKBCがスワヒリ語で放送しています。内容は似たようなものです。どちらかといえば、KBCのほうが少し堅い感じですし、教養番組も放送しています。

番組は、ほとんどがアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカで製作されたドラマ、映画、チャットショー、スポーツ番組で、国民性を反映してか、やたらとお笑い番組(コメディ)が多いです。あとはプロレスかカンフー映画。ケニアで製作された番組は、素朴な座談会形式のもか、小学生のディベートだとか、子供絵画展の紹介など、超低予算のものです。これが、まじめにやっているだけに結構笑えます。 こちらのコマーシャルはやはりこちらの価値観を反映していて、黒人の少年が、白人の悪者に追いかけられるのですが、ケニア牛乳を飲んで力がつくと白人の悪者も一たまりもなくやっつけてしまうというものや、イースト・アフリカ・スタンダードという新聞を購読すると、抽選で発電機や水汲み用ポンプ、コンロがあたるというのもあります。

ケニアの社会問題は政治家の汚職ですが、これは、IMFミッションの政策問題ナンバーワンにもなっています。とにかく国有地に勝手に家を建てて売り出したり、国道上に勝手にガソリンスタンドを作って、世銀のプロジェクトから邪魔だと言われると、立退き料を要求するという具合です。一般庶民の間では、アメリカの下らないソープオペラのおかげで不倫や家庭内暴力が流行しているということですが、新聞にも「靴下を洗うことを拒否した妻を殺害」などという記事がでていて結構切れてる感じです。しかし、部族内の拡大家族の伝統は残っていて、遠い親戚が部落から生きた鶏とバナナの房を持って中央銀行にたずねてくるそうです。当然、オフィスは鶏の鳴き声で騒然とするそうですが、それが日常茶飯事になっていて、部落の人はナイロビで出世した人を頼って、毎日のように来るそうです。ここで知り合いになった人たちが日銀に行く時は「白やぎ」(ケニアの各部族では最高の贈り物だそうです)を連れて行くからといってました。本当にそいうことになっても驚かないでください。

北村行伸
ナイロビ、ケニア