[6]榎原さんが言うような生産価格自体の再定義というのはさらにまずいわけで、生産価格概念は実際の市場メカニズムから観察される「現象形態」を捉えて抽出される概念なわけです。一般に労働価値比率に等しい価格比の下では部門間の利潤率の不均等が生ずるわけだから、生産価格比を労働価値比に一致させて定義する場合には、生産価格はもはや資本の部門間競争の均衡概念としての性質を失います。