科学研究費補助金特定領域研究B
研究の目的:A7 (北岡グループ)


この研究では、世代間利害調整において、日本の政治がいかなる問題を抱えているかを具体的に明らかにし、また、円滑な世代間利害調整を行うためには、政治がいかに変らなければならないかを考えることを目的としている。

そのために、まず、有権者および有識者が、世代間利害調整の問題をどれほど認識しているか、正確な意識調査が必要である。また、他の先進産業諸国が世代間利害調整にどのように取り組み、また世代間に見られる政治参加の格差に対してどのような対策を講じているかを学ぶことが有効である。そして、世代間利害調整という観点から見るとき、日本の福祉行政がどのように展開されてきたか、政党はこの問題にどのように取り組んできたかを、明らかにしていかなければならない。

こうした基礎的な事実を明らかにして、その上に、世代間利害調整の問題が政治システムに投げかける問題を把握しなおし、その再編成にむけて何らかの提言をするところまで、視野に入れて研究を進めたい。

この分野に関する研究は、政治学においては、まだほとんど存在しないといってよい。高齢者の政治参加に注目するシルバー・デモクラシーという議論はあるが、それが若年層に与える影響については、まだ研究が及んでいない。戦後日本の福祉政策の展開については、行政学の分野でかなりの蓄積があるが、それが世代間に大きな溝を作り出すことについては、具体的な掘り下げはまだ始まったばかりである。また、政党の取り組みについては、きわめて研究は少なく、諸外国との比較についても同様である。その意味で、この研究はパイオニア的意義を持っており、したがって、後に残るような基礎資料の収集にかなり力を割きたいと考えている。


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