スタートアップ企業のネットワーク構築要因
氏名 | 所属 |
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岡室博之 | 一橋大学経済学研究科・准教授 |
加藤雅俊 | 一橋大学経済研究所・専任講師 |
氏名 | 所属 |
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池内健太 | 一橋大学大学院博士後期課程 |
西村淳一 | 一橋大学大学院博士後期課程 |
企業は有形・無形のさまざまな経営資源の集合体であり、その質と量が、企業の能力を規定し、企業の存続と発展に強く影響する。取引先や金融機関とのネットワークは、それ自体が有用な経営資源であるとともに、外部の経営資源へのアクセス径路でもある。社内の経営資源の乏しい中小企業、とくに新規開業企業にとって、外部とのネットワークは非常に重要な意味を持つ。しかし、中小企業庁の調査等によれば、新規開業企業にとって、取引先の開拓は資金調達と並んで大きな困難である。それにもかかわらず、開業後の取引関係の構築については、アンケート調査に基づく岡室(2005)(忽那・安田編「日本の新規開業企業」白桃書房、第5章)を除いて、本格的な分析はほとんど行われていない。海外でも、Birley(1985)以来、企業家のネットワークの効果については多くの研究が見られるが、それらは個人的人脈等の社会的関係か弁護士・コンサルタント等の専門サービス業者との関係に関心を集中しており、取引関係はほとんど考慮されていない。
そこで本研究は、比較的業歴の浅いスタートアップ企業に対象を限定して、取引関係と融資関係の形成過程を観察し、個人ベースの独立開業と既存企業の子会社・関連会社を区別して(株主構成から判断)、企業家の個人属性(学歴・職歴・その他性格的特徴等)が株主構成とともに取引関係・融資関係の形成にどのように影響するかを分析する。より具体的には、一定水準以上の規模またはランク(一部上場企業等)を取引先にもつ企業や、大手都市銀行・政府系金融機関から融資を受けている企業の特徴を明らかにする。また、そのようなネットワークがスタートアップ企業の存続や成長に与える影響を、今後数年間のデータに基づいて分析する。
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