Asako and Kanoh (1997) 等によって,日本銀行が公表する政策目標が実際にマクロ経済の安定化に役立ったことが計量分析によっても裏付けられているが,こうした評価が,ゼロ金利政策や量的緩和政策といった非伝統的金融政策下でも当てはまるのかを,1990年代以降のデータで検証する.モデル分析からは,新しいデータでは累積国債残高の役割が大きく変わった推計結果が得られ,その背景を検証する.また,金融政策決定会合での委員の投票行動の分析も行い,金融政策の目標設定と政策決定過程の相互関連を考察する.