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論文要旨

Vol. 65, No. 3, pp. 193-206 (2014)

『Goodwin-Kaldor統合モデルにおける失業,成長および分配 —資本制経済の動学分析—』
吉田 博之 (日本大学経済学部)

本稿では,Goodwin-Kaldor統合モデルを提示し,資本制経済の動学的性質について検討する.特に,財市場の価格調整を重視するSkottモデルを再考することによって,財市場の数量調整を重視する不均衡モデルを構築することを試みる.本稿では,利潤追求的な投資支出によって,経済が動学的に不安定な性質を有するという結果を示した.なお,政府が財政的手段を利用して安定化政策を実施することを想定し,その経済的効果について分析を行なった.この場合,政府が十分強い財政政策を採用することにより不安定な経済を安定化させることが可能であることを示した.加えて,我々は,Hopf分岐定理を用いて内生的な成長循環が発生する正確な条件を示した.