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論文要旨

Vol. 61, No. 3, pp. 224-236 (2010)

『Homescanによる家計消費データの特徴』
阿部 修人 (一橋大学経済研究所), 新関 剛史 (一橋大学経済研究所)

マーケティング会社が作成しているHomescanの支出データと、家計簿ベースの家計調査、および記憶ベースのパネルデータを比較し、Homescanベースの支出データにどのような特徴があるか考察した。また、Homescanが日次の数年間にわたるパネルデータであることを利用し、家計消費データの時系列的特徴も分析した。その結果、Homescanによる支出データは、イギリスにおける先行研究と同様に、25%から30%程度、家計簿ベースのデータと比較し水準は低いが、支出の年齢や就業状態等への依存パターンや変動係数は家計簿ベースのデータとほぼ同じであることがわかった。時系列情報を利用した分析では、(1)支出の季節性変動パターンは家計間で大きく異なること、および (2)月次支出データの変動は恒常所得モデルが想定しているよりも大きいが、年次支出データは非常に安定しており、恒常所得モデルと整合的な性質を有することが明らかになった。