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論文要旨

Vol. 60, No. 3, pp. 266-285 (2009)

『都道府県別景気指標による景気分析―CPBIの予測力―』
浅子 和美 (一橋大学経済研究所), 小野寺 敬 ((株)日本経済新聞デジタルメディア)

本論文では,月次の共通指標から都道府県別CIを試算し,全国の景気基準日付に対する地域的な先行・遅行の跛行性を考察する。全国のCIを47都道府県に分割したとして,都道府県別CIから構築される景気指標に,大数の法則や中心極限定理が適用可能かを見ながら,大筋としては,47の都道府県別CIから構築した累積都道府県景気指標(CPBI)が,過去の全国レベルの景気循環のデータに対して,景気局面の認定を再現することが分かる。「いざなぎ超え」で喧伝された直近の「山」の判定においても,CPBIの構築法によっては適切な判定が可能であることも確認される。また,都道府県別CIは単なる質的データではなく「量感」をも体現したものであることを利用して,CIの上昇幅で見た都道府県の景気の回復度合いを算出すると,循環ごとに地域間格差が広がっていることが理解される。