本稿では,2002年10月に策定された『金融再生プログラム』(いわゆる竹中プラン)に沿うかたちでなされた金融監督行政の機能強化と,それを補完するかたちで2003年3月に実施された日銀の金融緩和政策を市場がどのように評価していたのかについて,イベントスタディの手法により分析した.その結果,プログラム成立後に発生したりそな銀行の実質的破綻と足利銀行の破綻に対しては,市場は個別各銀行の財務指標を考慮して銀行を峻別しており,金融監督行政の機能強化を評価していたようである.福井日銀総裁が就任直後に実施した金融緩和政策は,銀行業全体の株価を押し上げる効果を持ったが,市場は銀行の流動性不足を特に深刻な問題とは捉えていなかったようである.