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論文要旨

Vol. 59, No. 3, pp. 256-265 (2008)

『ランクサイズ回帰の検定について』
小西 葉子 (独立行政法人経済産業研究所), 西山 慶彦 (京都大学経済研究所)

多くの実証研究では都市サイズ,企業の資産や売上高の規模などの研究対象がパレート性を持つことを,ランクサイズ回帰で観察してきた.具体的には,順位の対数値をその規模の対数値に回帰することにより,その係数が-1 になるかを調べる.また,パレート性の有無には,二次項の係数が0 であることも条件になるので,本稿では,二次項を加えたものを回帰モデルとする.パレート性の検証には,一次項,二次項それぞれの t 検定と,一次項の係数が-1 ,二次項の係数が0 という複合仮説が成立しているかを F 検定で調べる方法がある.しかし,分析対象がパレート分布に従う時,データ数が大きくなると,t 値は発散してしまうため通常の t 検定を行えないことがわかっており,F 検定でも同様の問題が観察された.そこで本稿では,F 値の棄却域をシミュレーションによって構成し,ランクサイズ回帰の複合仮説を検証可能とし,パレート性の検定の新たな手法として提案した.