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論文要旨

Vol. 57, No. 1, pp. 58-71 (2006)

『日本の株式収益率に対する構造変化を伴うボラティリティ変動モデルによる分析』
塩濱 敬之 (一橋大学経済研究所)

本論文は,東証株価指数(TOPIX)と日経225株価指数を用いた,日本の株式市場における収益率のボラティリティ変動の構造変化点推定に関する実証分析である.ボラティリティ変動には,GARCHモデルと原資産収益率とボラティリティ間の負の相関を考慮したGJRモデルを用いて定式化した.未知の構造変化点を最尤推定量によって推定し,未知の変化点数の特定やモデル選択のためにAICとSIC.また推定されたボラティリティの予測パフォーマンスを比較した.分析に用いるモデルによって構造変化点推定値が異なるが,主要な変化点として1999年3月4日,2000年4月14日,2004年5月6 日が挙げられた.これらの変化点によってTOPIX,日経225とも1999年3月5日から2000年4月14日まで期間において,ボラティリティに対するショックの持続性が低かったこと,2004年5月6日以降は,期待収益率の無条件分散が大きく低下したこと,日経225における2004年4月24日の銘柄入れ替えによる構造変化は系列相関の構造変化に表れたこと等の結果が得られた.