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論文要旨

Vol. 57, No. 1, pp. 45-57 (2006)

『労働市場のネットワーク構造―都道府県データを用いた分析―』
伊佐 勝秀 (一橋大学経済研究所)

本稿では,都道府県レベルでの地域間労働移動の時系列的な動向を,移動指数に基づき,『労働市場年報』及び『雇用動向調査』を用いて分析した.その結果,『労働市場年報』ベースの指数が1990年代末以降は上昇傾向にある一方で,『雇用動向調査』ベースのそれは,ほぼ一貫して低下傾向にあることがわかった.両者の違いには,景気循環的要因のみならず,何らかの構造変化的な要因が影響していることが考えられる.また地方で,いずれのデータでも,地域間労働移動の時系列的な不活性化傾向が見られた.これは,日本の労働市場が地域的に分断化しつつあることの兆候である可能性がある.