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論文要旨

Vol. 56, No. 4, pp. 370-379 (2005)

『DEAによるインドネシア製造業の効率性評価』
松永 宣明 (神戸大学大学院国際協力研究科), 播磨谷 浩三 (札幌学院大学経済学部)

本論は,1995年のインドネシア製造業のセンサス・データを対象に,部門別の効率性の計測をDEA(Data Envelopment Analysis)を用いて行った.部門間の比較では,金属関係の部門が高く,食料関係の部門が低いという傾向が確かめられた.また,操業規模別では資本設備が大きいと一般的に考えられる化学,金属関係などの部門で大規模企業ほど効率性が高い傾向にあること,資本区分別では外国資本の企業ほど効率性が高いこと等が確かめられた.アジア経済危機以前のインドネシア経済の高い成長を支えた背景には,外国資本を後ろ盾とした重工業部門の存在が大きかったことが推察される.さらに,効率性の格差に労働生産性が影響しているのかについて回帰分析を行ったところ,ほとんどの部門で労働生産性が高いほど非効率性が低いことが有意に確かめられた.