本論文では、各銀行の審査体制充実の指標を作成し、理論モデルに従って、借入企業のパフォーマンスを被説明変数、メインバンクの審査体制充実や、借入金利、当該貸出の規模、等を説明変数とした回帰分析を行った。その結果、審査体制が充実した銀行をメインバンクに持つ企業ほど事後的なパフォーマンスが有意に良好であるとの結果を我々は得た。我々は次にBartel and Sicherman(1999)の方法に準拠することにより、メインバンクの審査体制と借入企業のパフォーマンスの間の正の関係が、審査活動のパフォーマンス改善効果によるのか、それとも選別効果によるのかを検証した。その結果、この正のかん系は審査活動の選別効果によって生じているとの結果を得た。