ビルマ農業長期統計(植民地期)推計に関して

On the Estimation Process of Long Term Economic Statistics on Agriculture in Burma (Colonial Period)

岡本 郁子

アジア経済研究所




1.はじめに


2.ビルマ長期農業統計推計作業のフレームワーク

2−1.推計対象範囲

2−2.推計対象品目

2−3.推計の対象期間

2−4.単   位


3. Season and Crop Report の概要

3−1. Season and Crop Report 作成の目的

3−2. Season and Crop Report の作成

3−3. Season and Crop Reportの構成


4. Season and Crop Report のデータ −米を中心に−

4−1.作付面積・収穫面積

4−2.収   量

4−3.生 産 量

4−4.価   格

4−5.経常投入財

4−6.農業ストック


5.むすびにかえて




図・表は、都合により掲載することができません。ご了承ください。







 


1.はじめに

本稿は ビルマ農業長期経済統計推計のフレームワークを整理し,その上で植民地期統計の推計作業の出発点となる統計資料 Season and Crop Report をとりあげ、得られるデータの性格や問題点等を明らかにすることを目的とする.

農業に関する汎アジア長期経済統計推計の目的は,「国民経済計算の体系に則しつつ,農業の算出,投入および要素価格に関するデータを可能な限り時代をさかのぼる連続的な長期系列として整備すること」( 川越:1996 11ページ )にある.端的には,農業生産の純(粗)付加価値を推計することである.そこでは1.生産量、2.価格、3.経常投入財,4.農業ストックの4つのデータが基本的な統計系列となる. Season and Crop Report は, 植民地期ビルマに関するこれらの基本的系列(ただし経常投入財を除く)を,連続性をもって提供する唯一の資料である.

まず,第2節で農業統計推計作業のフレームワークを提示する.第3節では Season and Crop Report の統計資料としての概要をまとめ,第4節で,もっとも重要な作物である米(本稿では特に断りのない限り,籾米を指す)を例にとりながら, Season and Crop Report で得られる統計データの問題点等を明らかにする.そして,第5節で今後の作業で検討すべき点を提示する.





 


注1 本稿の執筆に際し、川越俊彦氏に貴重はコメントを頂いた。記して感謝したい。



 


注2 1989年にビルマは対外呼称をミャンマーと変更したが、本稿は植民地期のみに言及するためにビルマを使用することにする。