Interview

今日は先生に,インタヴューできるということで,秘書3人が張り切っています。

 

秘書:「先生こんにちは。今日は,私達からの質問にたくさん答えていただこうと思います。」

先生:「You're Welcome!」

秘書:「先生,日本語でお願いします。では、最初に先生のご趣味について伺いたいと思います。
    先生は,背が高くスポーツマンのようにお見受けしますが,何かスポーツをやっていらっしゃるのでしょうか?」

先生:「昔から運動は定期的にやっています。今は週に2,3回ジムに通って、エクササイズをしたり水泳をしたりします。
    大学を移動するたびに、それぞれの地域でジムを見つけて通うようにしています。
    こちら(ただ今、米国Yale大学滞在中)でもYaleのキャンパス内にずいぶん立派なギナジウムがあってそこで自分が
    普段するトレーニングは一通りなんでも出来ます。また、スカッシュ・コートもあるので、あらたに練習し始めました。」

秘書:「やっぱりなにかやっていらっしゃると思っていました。先生がアメリカから帰国されても,太っていらっしゃらない理由が
    わかりました。」

先生:「中学高校と卓球部で毎日猛烈なトレーニングの日々を送っていたので,今でも肉体年齢は実年齢よりも5歳は若いと
    豪語しています(笑)。卓球は最近でもときどき、坂本さん(鈴村ゼミM2)とやりますよ。彼女は大学時代、体育会の卓球部の
    団体戦選手だった人ですが,今のところ僕が全勝しています。僕はカットマン、彼女はペンの前陣速攻型ですが、
    高校時代の全盛期と比較してもまだまだ結構よく体が動きますよ。
    それと昔より試合頭が良くなった気がする。人間力の差だよ,と彼女には言ってやっていますね(笑)。」

秘書:「卓球は,新たな挑戦者を募集していらっしゃいますか?アメリカにはいそうですか?」

先生:「アメリカでは難しいでしょう。今はYaleのフィットネス・ジムに行ってスカッシュを時々楽しんでいます。
    John E. Roemerのところには今,僕の他にもう一人韓国からのヴィジターが今年の1月から滞在しているのですが,
    年齢も近い事もあり時々一緒にスカッシュをプレイしています。これはそうとう体力の要するスポーツで、
    体力に自信のある自分でもたちまちのうちに息が上がってしまいます。」

秘書:「他には何かやっていらっしゃるのでしょうか?」

先生:「大学・大学院とずっとジョギングを欠かさずやっていて,学生時代、札幌の市民マラ ソン大会で3位入賞して銅メダルを
    もらった事もあたっし,院生のときも休日とかは15キロくらい走っていたかな・・・。最近はちょっと走る方はサボりがちですね。
    以前と比べて走るモチベーションがあまり感じられなくなったというか・・。
    ただ、外国に 行ったときなどはうまくジムが見つからなかったとき等はよく走りますよ。
    去年UCリバーサイドに滞在したときとかは、クリスマス休暇に時期が重なっていて,大学も何も殆ど閉鎖していたので,
    ひたすら走っていましたね。」

秘書:「体を動かすことが習慣なのですね。」

先生:「まあ、とにかく、体を動かすのはすっかり癖になってしまっていて、しばらくジムに行っていない日々が続くと何となく体が
    シャッキとしなくなるような感じがして気持ち悪くなる。精神的にも何か年食ったような気になってしまうしね。
    まあ、理論家としてシャープなイメージを保つためにも、引き締まったボディを維持し続けないわけにはいかないのでね(笑)。」

秘書:「(・o・)・・・さすがですね。」

秘書:「では質問を変えて、お好きな食べ物は何ですか?」

先生:「僕は基本的に和食党で、新鮮な魚介類には目がないですね。粋のいい刺身とかだと毎日食べてても飽きが来ない。
    新潟で18年間育ってきて、札幌で6年暮らしたせいか,米とか魚介類の味には割とうるさいですよ(笑)。
    国立に移ってからは、あまり食べる機会は日常的にはなくなりましたが、札幌に(教師として)いたときなんか、
    日常的にうまい刺身とか寿司を食べていたし,月に一回くらい悪友とつるんで、小樽の寿司屋まで、大量にとれたての魚介類
    を腹に詰め込む機会を設けていました。
    国立にはあまりそういった店はないので,むしろ洋食系のレストランに行く機会が増えましたね。」

秘書:「私たちも先生のご出発の前に、行きつけのお店でイタリアンをご馳走になりましたしね。」

先生:「こちら(米国)にいると、食事の面では本当に困難を感じますね。普段、週日はYaleのダイニングで食事を済ます事が出来る
    のですが,何だかいつもエネルギー補給の為に口の中に放り込んでいるみたいです。週末はアパートの近くの日本料理屋
    に行ったり、自分でご飯を炊いたりするのですが,自分が日本人であると言う事を一番痛感する瞬間ですね。
    やっぱりご飯を食べないと力が腹の底から湧いてこない感じがあるし,食の進み方や満腹感も全然違いますよ。
    それでいてカロリーは普段のこちらの食事よりずっと低いのですからね。
    昔、女子プロテニスの伊達君子選手が海外遠征の際、炊飯器を持ち歩いていたと言う話を聞きましたが,よく解りますね・・。」

秘書:「ところで、先生のお好きな音楽は何ですか?」

先生:「尾崎豊、それから浜田省吾もよく聞きましたね。僕が大学院時代の苦しい時期を乗り越えられたのは、尾崎豊とめぐり会って
    いたから・・・かな(笑)。今でもたまにビデオを見たりしますよ。」

秘書:「先生は苦しいときに、尾崎豊の音楽をお聞きになったのですね。もし、今、大学院生で苦しいと感じている人がいるとしたら,
    どんなアドバイスをなさいますか。」

先生:「別に苦しいときばかりでないですよ。気持ちが盛り上がって乗っている時にも、ですね。
    大学院生で苦しい思いをしている人がいたら、まずは自分が本当にしたい事はなんなのかをよく見極める事。
    それとどんな世界であれ、やはり向き不向きというものはあるわけだから、
    自分の適性をわきまえて、ときには諦める事も必要ですね。
    しかしまあ、本当に実現したいと強く願うものはえてしてかなうものですよ。
    そういうものには人間は自然と努力するし,粘り強く諦めずに頑張れますから。
    一番良くないと思うのは、現状の自分に照らして実現できそうもない途方もない夢を立てるだけで、
    あとは漠然と時間を過ごすこと。
    一種のモラトリアム思考だと思うのですが,自立した大人になるための闘いは、そういうモラトリアム思考から一歩踏み出す
    ところから始まると言って良いかもしれません。」

秘書:「とてもためになるお話でです。」

秘書:「愛読書は何ですか?」

先生:「昔愛読していた比較的古い時代の小説では、野上弥生子「迷路」、広津和郎「風雨強かるべし」。
    いずれも日中戦争から太平洋戦争末期にかけての、激しい思想弾圧化の日本社会の下での青年達を描いたものです。
    最近読んだ長編小説では、山崎豊子の「沈まぬ太陽」(日航機墜落事件を題材にした、ある良心的な航空技術者が
    会社の御用組合路線に反したが為に徹底的に僻地で干されながらも会社の墜落事件をきっかけに復活するという話)ですね」

秘書:「休日の過ごし方は?」

先生:「日本にいるときもこちらでもあまり変わらないですが,最近もフィットネス・ジムに行って、約半日間、過ごす事が多いですね。
    それから今は特に時差の関係もあり,日本の友人に電話するときとかは土曜の午前中とかにする事が多いですね。
    あとは買い物をしたりとかですが,なんと言っても睡眠時間が平日に比べて多くなります(笑)。」

秘書:「ここで,少し硬い話題にも触れていきたいと思います。経済についての質問です。
    経済を志した理由やきっかけについて,教えてください。」

先生:「子供の頃から割と社会問題に関心があった。貧困の存在とか,社会的不正のメカニズムとかに関心が深い、
    反権威的思考の強いところがありましたね。
    それ以前から、歴史は非常に好きな科目でしたが,高校のときにマルクス経済学という分野があるということを知って、そのとき、
    「これだ!」と思いました。
    それまでの「経済学」のイメージというと、単純にいかにお金を儲けるかについて考える学問だと思っていましたが,
    なぜ貧富の格差や社会的不正が解消されない社会なのかをそのメカニズムを探求するのこそが経済学という分野なのだと思う
    ようになりました。
    「マルクス経済学」に触れることなく「近代経済学」から入っていったら僕は経済学を志しはしなかったでしょうね。
    そういう意味では今,「近代経済学」の分野の中で特に厚生経済学を専攻しているのも自然な流れのように思えますね。」

秘書:「アメリカでテロ事件があり、世界的な不況が予想される中、留学されていらっしゃいます。貧富の差が激しいといわれる
    アメリカの現状について見聞を広め、社会的不公正の解消のために活躍されることを願っております。」

秘書:「先生のご専門はゲーム理論と言うことでしたが、ゲーム理論を簡単に言うと?」

先生:「ゲーム理論は社会科学の問題を分析するために開発されてきた数学理論です。
    単純にいえば,互いの行為が相互に互いの帰結に影響を及ぼしあうような社会状態の下での人々の「合理的」あるいは
    「限定合理的」意思決定の作用のプロセス及び帰結を分析する学問だと、まとめる事が出来ます。
    ゲーム理論は大きく分けて協力ゲームの理論と非協力ゲームの理論とがあり,最近はさらに様々な分野に細分化・発展しています。
    僕自身は純粋な意味でのゲーム理論の研究者というよりもむしろその応用に関心のある方ですね。
    自分の専攻分野の厚生経済学でもゲーム理論的分析は不可欠ですから。」

秘書:「難しそうですね。」

秘書:「この辺で、経済のことは先生にお任せするとして、先生に一問一答形式で質問させていただきたいと思います。」

秘書:「差し支えなければ、身長・体重,靴のサイズを教えてください。」

先生:「身長176センチ・体重63キロ・靴のサイズは26.5」

秘書:「自覚していらっしゃる性格は?」

先生:「慎重かつ我慢強い」

秘書:「生活のパターン(早寝・早起きか夜型人間かなど)は?」

先生:「もともとは夜型、最近はやや早起き型に変えつつある」

秘書:「アメリカでの生活は、規則正しいのですね。次の質問です。似ていると言われたことのある有名人は?」

先生:「舘ひろし(大沢たかお・刑事役で有名な石原プロの俳優で「泣かないでー」という歌を歌っていた人)と、
    萩原聖人(和久井映見という女優さんの旦那さんである俳優さん)等々」

秘書:「無人島に何か一つ持っていくとしたら何?」

先生:「水」

秘書:「明日世界が滅びるとしたら,何をしますか?」

先生:「明日滅びるとしたらいまさらじたばたしてもしょうがないと観念して、いつもどおり当座の研究課題を滅びる直前まで
    遂行している、・・・かな?」

秘書:「今まで住んだ場所とその印象は?」

先生:「新潟: 故郷。昔から土地が豊かな農村県であり、周りを山脈で囲まれて閉じられた環境にあるせいか、基本的に皆、
    よそ者に対して最初は人見知りするところがあり、また温厚でのんびりしている。
    また、人をうまくたぶらかしたり出し抜いたりして得をしようという感覚が一般的にない。
    地道だが、資本主義社会で大成功するような人材は出にくいかもしれない。
    しかしよき共同社会の名残がまだ残っている点は、今後とも失って欲しくないところ。
    住みごごちがいいせいか,新潟にずっと暮らしている人は、容易に故郷の外に出たがらない傾向があり,また、
    故郷の外に出て暮らしている人たちでも同郷人どうしの結束意識はけっこう強いと言える。米,魚、水、酒が美味くて、
    そのせいかやたらと美人が多い。これは他県に住む様になって初めて気づいた事ですが・・・。
    大きな産業がない事もあって、女性に比して若い男性の数が少ないせいか、そして皆、故郷を離れたがらないせいか,
    未婚のきれいなお姉さんがごろごろいる。

    札幌: 第二の故郷。とにかく寒い!歴史が浅いせいでつまらない因習に苦しめられる可能性は少ないが,逆に何もなくて特に
    組織的に大きな力を発揮しようという気力・ノウハウが乏しい。
    北海道出身で東京等で生活している人はバイタリティーあふれる人が多いと感ずる一方,札幌にずっといる人は人は良いけど
    向上心と覇気に欠ける印象がある。
    すすきので毎晩のように、刹那的に飲み歩いているうちに段々とアンニュイな気分に引き込て,なんとなく落ち込んだ事がよく
    あった(笑)。
    海鮮類、生ビール、焼き鳥、それから女の子はグット!グットと言う意味は、食べ物については言うまでもないでしょう。
    ただ魚は小樽の方が札幌より安くて新鮮で美味い。
    小樽の寿司屋で刺身を食すれば、今まできらいだった人たちも認識を改めるでしょう。
    女の子の「グット」さは、札幌という街の気候と文化的特徴のせいか,肌がきれいでメイクも適当に洗練されているという点,
    及び、東京に比べて変にすれておらず性格はえてして素直で純朴な子が多い。

    大阪: アジアの混沌とした繁華街の匂いが日本で一番強そうな街。
    年配の人には東京に対する対抗心とコンプレックスのないまぜの意識が強そうで、東京の文句を言うと話を弾ませてくる。
    若い人にはあまりそういう意識は感じない。
    新潟の人は大阪を苦手だと言う人が多いが,それは一つは、新潟の人は下手に出ている相手に対して同情的で、
    自分も同じくらい下手に構えようとしがちだが、大阪の人は相手が下手に出てくるとそれに乗じて高飛車に構えるという印象が
    あるからなのか?
    実際、自分も住み始めた当初はそういう経験を蒙って、いやな印象をもったが、慣れて付き合い方のコツが解って来るにつれて
    大阪人の開放的で気さくな点や東京の人にはない人情の厚さが感じられるようになった。
    まあ、街全体が大きな下町といったところでしょうか?理屈っぽい気取り屋タイプは好きになれないところかもしれませんね。
    食べ物は「食い倒れ」と言う割には大した事はない。単に安いだけではないかという印象。
    女の子は上の2市と比べると美人の比率は圧倒的に低くケバイのが難だが、気さくで情が厚く会話を盛り上げるのが上手な
    人が多いという印象。」

秘書:「各都市の詳しい解説、ありがとうございました。さて、女性の話が出てきていましたが、ずばり、好きな女性のタイプは?」

先生:「芸能人でいうと安田成美。日本を発つ直前にテレビで五木寛之原作の映画の主演女優としてCMに流されているのを時々
    見ていましたが,最近髪が長くなって、20代の頃とはまた違った深みのある美しさと色艶を醸し出すようになっていたと思いましたね。
    映画もぜひ見たいと思っていましたが,上演開始が日本発の直後だったので,残念ながら適いませんでした(笑)。」

秘書:「好きな色は?」

先生:「青・白・赤」

秘書:「これは、星条旗の色ではありませんか(^_^;)」

秘書:「好きな漫画は?」

先生:「最近では、里中真智子という有名な女性漫画家が書いた大河ドラマ風漫画で、文庫本シリーズにも収められた『あした輝く』。
    3世代に渡る女性たちが明治維新期から終戦直後までの激動の時代を生きるその生涯を描いたもの。
    その中の場面で、初代の女性の夫となる元士族の男性が自分の息子に「死ぬ事の意味を考えて生きよ」と、日本人の
    武士道精神を伝授する場面があります。
    以後、その格言がその家の代々の息子達に伝えられていくのですが、そのせりふの場面には何度読んでも涙がでてきます(笑)。」

秘書:「突然ですが、秘書は好きですか?」

先生:「好きですよ(笑)。皆さん、本当によく尽くしてくれると思っています。」

秘書:「光栄です。」

秘書:「将来についてお伺いしたいと思います。今後の目標は?また、どんな教授におなりになりたいですか。
    それともいつかは企業もしくは官庁への転身を希望されているのですか。海外で活躍するご予定ですか。」

先生:「Good questionですね(苦笑)。あまり考えたくない問題ですね。
    日本の政府が大学をどうしていくつもりなのかという問題にも大きく関わってきますしね。とりあえず当面やってみたい事としては、
    いずれは本を書きたいということかな。」

秘書:「YaleやPauの日記を読ませていただきました。描写が細かく驚きました。」

秘書:「訪れてみたい国・行ってみたい国・住んでみたい国はどこですか。」

先生:「訪れてみたい国・行ってみたい国はスイス、イギリス,ギリシャ等かな。住んでみたい国はニュージィランド。」

秘書:「たくさん答えていただき、ありがとうございました。先生の今後のご活躍を、期待しております。」


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