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国会における意見陳述 |
| ○一橋大学の高山でございます。本日
は、当委員会にお招きをいただきまして、大変
光栄に存じております。 確定拠出年金法案について意見を述べます。 まず、法案には、基本的に賛成でございます。 その主たる理由は二つございまして、第一は、 税制優遇措置つきの新しい掛金建て制度であるこ と。第二に、従来の給付建て制度は転職者に不利 な面が多々ございました。しかし、新制度では、 ポータビリティーを高める主いう点で一定の前進 が図られております。新制度創設により、総じて 選択肢が広がることになります。この点はプラス 評価に値すると考えております。 次に、給付建て制度ではリスクを事業主が負担 する一方、掛金建て制度ではリスクを従業員本人 が負担するという見方が一部にございます。しか し、これは皮相的であり、現実的な見方だとは言 えません。 給付建て制度のもとで未積み立ての年金債務の 償却を優先しますと、ボーナスのカットや月給の 引き下げ、あるいは従業員解雇が行われがちでご ざいます。結果的に従業員もリスクの一部を負担 することになります。一方、掛金建て制度のもと でも、事業主が元本または最低利回りを保証する というケースがございます。いずれも労使間の交 渉が先にございまして、双方の合意に基づいた形 で具体的な内容が決められるということでござい ます。表面的に制度の違いがありましても、リス ク分担ということに関する限り、両者に大差が生 じるとは考えられません。 今後の課題として、以下、七点を指摘しておき たいと存じます。 第一点目、特別法人税問題でございます。 現在、年金課税につきましては、拠出時非課税、 運用時非課税、給付時課税が望ましいということ になつておりますけれども、日本では給付時課税 を徹底することが容易ではございません。また、 運用時非課税の問題で申し上げますと、他の金融 商品は運用時課税ということになっておりまし て、それとどうバランスをとるかということが問 題になります。これら二つの点を考慮いたします と、税務当局がおっしゃっているように運用時課 税を残すということには一定の理解を示さざるを 得ません。 ただ、現行のように特別法人税がストック課税 という形をとっていることは適正だとは思ってお りません。むしろ、フロー課税すなわち運用収益 課税に切りかえることが、今後の方向として、セ カンドベストではありますが、望ましいというふ うに考えております。 第二点目、非課税拠出枠の年齢別設定の問題で ございます。 日本の企業の退職給付は、御案内のように給付 建て制度に偏り過ぎております。昨今、運用環境 が厳しい中で、日本の企業財務を直撃させている 大きな要因となっております。それが企業の前向 きな対応をおくらせて、結果的に日本経済の自律 回復ということがなかなか思うに任せない状況に なっているというふうに判断をしております。や むなく日本の企業では退職給付債務の一部または 全部を掛金建てに切りかえようとしております。 それが私の事実判断でございます。 この掛金建てへの切りかえを容易にするために は、非課税拠出枠を年齢別に設定し、高年齢の人 ほど非課税拠出枠を高くすることが必要になりま す。しかし、法案では、この点に関する限り、非 課税拠出枠は年齢にかかわりなく一律という形に なっております。現状、このような法案の形が仮 に施行されますと、掛金建てへの切りかえという ものがそう簡単には進まないというふうに予想さ れまして、これは日本経済界が求めていることに は必ずしも、それを満たすことにならないという ふうに考えている次第でございます。今後の検討 課題として非課税拠出枠をどう設定するか、この 問題を改めて検討なさっていただきたいというふ うに存じます。 第三点目、ハンドリングコストの節約問題でご ざいます。 掛金建て制度の成否を決めるのは、一つは税制 でございますけれども、もう一つは、ハンドリン グコストをどこまで低く抑えるかという問題でご ざいます。各国で大変頭を痛めている問題でござ いますが、日本では、法案の審議あるいは制度を 設計する際にほとんどこの点の議論がなかったと いうふうに思います。 ちなみに、イギリスでは、新しくステークホル ダー年金というのをことしの四月から導入するこ とになっておりますけれども、ハンドリングチャ ージを積立金の一%以下に規制することになりま した。日本でも、ゲームのルールとして、何%に するかは別としまして、このハンドリングチャー ジをかなり低目に抑えるような方向の規制を考え ることが私は望ましいというふうに思っておりま す。 金融機関が商売を広げるということは確かに大 事なことかもしれませんけれども、新しい企業年 金制度あるいは老後所得の安定に向けた制度をつ くることの趣旨は、やはり老後の所得の厚みとい うものを一段と万全なものにする、それが最大の 眼目であったはずでございまして、そのような目 的に照らしまして、ハンドリングコストを低目に 抑えることは非常に重要な課題だというふうに考 えております。これはアメリカでも盛んに議論を されておりますし、オーストラリア等でも全く同 じでございます。この点の検討をぜひお願いした いということでございます。 四点目、マッチング拠出の容認でございます。 現在の法案では、このマッチング拠出は一切認 めておりません。しかし、非課税拠出砕の範囲内 であればマッチング拠出を認めてよいのではない かというふうに考える次第でございます。 第五点目、六十歳前の中途取り崩し問題でござ います。 これは同様に、今回の法案では認めておりませ ん。しかし、ペナルティータックスを支払うこと と引きかえに六十歳前に中途取り崩しを認めてよ いのではないかというふうに考える次第です。 第六点目、ポータビリティー問題。 今回の法案、新しい年金制度をつくるに当たっ ての一つの眼目、それはポータビリティーを確保 するということにあったのですけれども、これが 必ずしも完全ではございません。その一つの例で すけれども、仮に、掛金建ての制度が用意されて いる企業から、そういうものが用意されていない、 従来の給付建ての企業年金制度しかない企業に転 職をいたしますと、掛金建て制度に拠出し続ける ことができなくなるという形になつております。 新しい制度が日本人全員に開かれたものにはなっ ていないためにこのような問題が起こるわけであ りまして、このような制約は取り除くことが望ま しいというふうに考えております。 第七点も似たり寄ったりの論点でございますけ れども、公務員や専業主婦につきましても、新し い掛金建て制度を利用できるように早急に検討す る必要があると存じます。 以上でございます。 |