HOME > センターの紹介 > 設立目的と研究課題

設立目的と研究課題

設立目的

経済学が実証科学として確立されて長い年月が経つ。しかし、人間や社会に関連する事象を対象とするかぎり、規範的問題を回避することは不可能である。本センターは、学問研究における規範的問題の扱い方に関して、歴史的・方法的・実証的・哲学的省察を行うこと、そのもとで新たな規範理論を探究することを目的とする。

研究課題

第一に、基礎理論研究に関して、①規範経済分析と実証経済分析との連携、ならびに、②経済学と政治哲学・倫理学・法学との連携を図る。

第二に、応用実証研究に関して、①医療・福祉・障害・ケア、交通・情報・知識・コミュニケーションなどに関する政策(法・ルール・制度)、ならびにそれらの社会的選択に関して、異なる主題間の協同を図る、また、②それらの主題と不平等・格差・搾取というより伝統的な経済学の主題との協同を図る。

第三に、上記の連携をふまえて、基礎理論研究と応用実証研究との連携を図る。

第四に、同様の関心をもつ国内の異分野研究機関との連携を図る。例えば、政治哲学・法学、市民工学、医療経済・倫理学、社会保障・社会福祉学など。

第五に、同様の問題関心をもつ海外の研究機関との連携を図る。例えば、オックスフォード大学多次元貧困指標開発チーム、プリンストン大学beyondGDP指標開発チームと、日本の潜在能力アプローチ研究ネットワークとの連携など。

第六に、新厚生経済学成立前後から今日までに焦点を定め、厚生経済学の理論と思想に関する同時代史をまとめる。ケネス・アロー、アマルティア・セン、アラン・ギバード、ピーター・ハモンドらに研究協力をお願いする。

第七に、経済研究所所蔵資料を中心に、戦前・戦後における厚生経済学の成立と発展の歴史を、現実の福祉国家制度の変遷プロセスとの関係で特徴づける。

第八に、現代の新しい規範経済学理論と方法(例えば、潜在能力アプローチ、公正な分配ルールや広義の合理性研究など)に関する総合的研究を行う。